ペンステートがフランクリン監督と破格の契約更新

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昨年までの3年間で25勝15敗という成績を残してきたペンシルバニア州立大(ペンステート)のジェームス・フランクリン(Jamese Franklin)。この数字だけ見れば決して凄い監督という風には見えませんが、昨年ご存知の通りBig Tenカンファレンスを制するという、開幕前には誰も予想できなかった快進撃を披露。そしてチームは2008年以来のローズボウル出場まで成し遂げました。そんなペンステートはつい先日フランクリン監督と6年間の契約更新を行いました。新しい契約では2022年までのサラリーが増額され、今年は年収430万ドル(約4億3000万円)、そして2022年には625万ドル(約6億2500万円)にまで増額されるということです。

ペンステート監督の遍歴

ペンステートは40年以上監督を務めてきたジョー・パターノ(Joe Paterno、故人)氏を2011年に解雇。その原因になったのが彼の長年のアシスタントコーチだったジェリー・サンダスキー(Jerry Sandasky)氏が起こした少年への性的虐待事件でした。

【参考記事】サンダスキー事件

その後NFLニューイングランドペイトリオッツからビル・オブライエン(Bill O’Brien)氏を招聘。パターノ氏というレジェンドの跡を継ぐという難しい立ち位置、さらにはサンダスキー事件の余波でNCAAから科せられた厳しい制裁(4年間のボウルゲーム出場禁止、40人分のスカラシップ削減など)があったにもかかわらず2012年には8勝4敗、2013年には7勝5敗という成績を残しました。しかしオブライエン氏は2013年度シーズン後にNFLヒューストンテキサンズの監督に就任するためにペンステートを去って行きました。

そしてその後任に指名されたのがフランクリン監督でした。前任チームであったサウスイースタンカンファレンス(SEC)のヴァンダービルト大では2011年から3年連続でボウルゲームに出場。ヴァンダービルト大フットボール史上初めて2年連続でボウルゲーム出場を果たしたのでした。また2012年と2013年はそれぞれ9勝4敗という素晴らしい成績を残し、どちらのシーズンでも最終ランキングで25位入りするという快挙を成し遂げました。

フランクリン監督の手腕

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そんなフランクリン監督のペンステートでの最初の2年間はどちらも7勝6敗という数字で勝ち越しは果たしたものの、カンファレンスのタイトル争いに絡んでくるということはありませんでした。しかし既述の通り昨年は2勝2敗というスタートながらそこから破竹の8連勝を飾り、オハイオ州立大ミシガン大といった強豪校がひしめく東地区を制して優勝決定戦に進出。そしてそこでもウィスコンシン大に前半リードされながらも大逆転勝利を納めて念願のカンファレンスタイトルを獲得したのです。

そんな流れから現在ペンステートは開幕前からトップ10入りを果たすなど大きな期待が寄せられています。もちろんフランクリン監督が昨年演出したチームの成功はチームが彼の就任以降上向きであることの現れでもあります。それはフィールド上の勝負の結果だけでなくリクルーティングにも効果が表れています。カレッジフットボールにおいてリクルーティングはチームの育成において切っても切り離せない重要なポイントの一つですので、ここでの成功はそのままチーム力の底上げに繋がるからです。

その彼の手腕を見越してペンステートはフランクリン監督と今回のような新たな契約更新を交わしたわけです。新しい契約でのサラリーでは計算上は平均年収580万ドル(約5億8000万円)ということになり、これは現在では全米で4番目に高額なサラリーとなります。彼より稼いでいるのはアラバマ大のニック・セイバン(Nick Saban)監督、ミシガン大のジム・ハーボー(Jim Harbaugh)監督、オハイオ州立大のアーバン・マイヤー(Urban Meyer)監督だけとなり錚々たる顔ぶれの一員となったわけです。

ペンステートの意図

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この新しい契約が結ばれたからといってフランクリン監督が2022年までペンステートに居残るという保証は何もありませんが、この契約は少なくともチームがフランクリン監督の指揮力に満足しているということの現れでもあり、そして大学側がチームの安定を望んでいるということになります。何と言っても2011年まで40年以上たった一人の監督(パターノ氏)によって指揮されてきたペンステートにとっては、過去5年間で3人の監督(パターノ氏を含む)の交代劇を経験しなければならなかったのは普通ではなかったわけです。

私の知っているカレッジヘッドコーチの一人はフランクリン監督は常にNFLへ興味を示しており、ペンステートには長くはいないだろうと話していました。実際フランクリン監督は2005年にグリーンベイパッカーズでWRコーチを務めたことがありますから、プロリーグがどんなものかを知っている人物です。仮にペンステートでさらなる活躍を続ければひょっとしたらプロから誘いがあるかもしれません。そんなイベントに備えてペンステートは先手を打ってこのような破格の契約更新をしたとも受け取れます。

そしてペンステートがカンファレンスタイトルを毎年狙っていくには、オハイオ州立大、ミシガン大、ミシガン州立大といった強豪ひしめく東地区を勝ち抜かなければなりません。連覇するのは難しくても毎年地区優勝争いに絡んでいくには今あげたチーム達と互角以上に戦っていかなければならないわけです。そのためには敏腕コーチにはケチにはなれないとう事情もあるわけです。せっかく捕まえた魚(=フランクリン監督)を逃すわけにはいかないということです。

フランクリン監督はもともとペンシルバニア州出身であり、ペンステートの監督に就任することは夢のようだったと語っていたこともあります。プロに行きたがっているかどうかは別として、今のところフランクリン監督は現在の職に満足しているようです。そして今回このような契約を大学と結べたことは彼も非常に満足していることでしょうし、ライバルのハーボー監督やマイヤー監督にサラリーで肩を並べるほどになったのは悪い気はしていないでしょう。

ペンステートの今回のフランクリン監督との契約更新は彼らがいかにフランクリン監督の指揮力に満足しているかということと、その彼に長い間チームの指揮を託したいと思っている本気度の表れだと言えそうです。