マーテルはマイアミへ・・・ハーツは?



日本の大学チームではあまり考えられないかもしれませんが、アメリカのカレッジフットボールの世界では選手がいろいろな理由でトランスファー(転校)することは多々あります。その中でもっとも一番の理由はプレー機会を求めて他チームに「移籍」することだともいます。それはシーズン後ともなれば日常茶飯事に起きていることですが、こと注目を浴びる選手に関わるトランスファーのニュースや噂には大手メディアも敏感にそれを報道するものです。

最近では当サイトでも紹介していますがアラバマ大のQBジェイレン・ハーツ(Jalen Hurts)の動向に注目が集まっています。その彼は未だどのチームに転校するかは明らかにされています。そんな中、名門オハイオ州立大からQBテイト・マーテル(Tate Martell)が転校するというニュースが飛び込んできました。


昨季までオハイオ州立大の先発を務めていたのはドゥウェイン・ハスキンズ(Dwayne Haskins)。ハイズマントロフィーファイナリストまでになったはスキンズは先日NFL早期ドラフト入りすることを宣言していました。そうなると彼の後釜は誰になるのかということになりますが、ハスキンズのドラフト入りのニュースが流れる前後にチームにはジョージア大からの転校生、ジャスティン・フィールズ(Justin Fields)が加入することが明らかになっていました。

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そこで勃発が予想されていたのがフィールズとハスキンズのバックアップを務めていた元5つ星リクルートのマーテルとの先発争いです。マーテルはフィールズが転校することがまだ噂話でしかなかった段階から敵意をむき出しにしていましたが、フィールズがいざ本当にオハイオ州立大にやってくることになると今度は逆にNCAAのトランスファーポータル(転校したい選手が名乗りを上げるシステム)に自らを登録。チームを去るモーションを掛けていました。

そして今日(1月16日)、マーテルはこんなツイートを残したのです。

新天地は噂通りマイアミ大でした。フィールズが転校してきてからまだ10日あまり。何とも素早い逃げ足決断です。

かつて彼はこんなコメントを残していました。

Why would I leave for someone who hasn’t put a single second into this program? I have put two years of literally working my ass into something that I’ve been waiting for and a dream I’ve had my whole life. To just run away from somebody who hasn’t put in a single second in at winter workouts and doesn’t know what the program is all about? There’s not a chance.

(なぜ私が、今まで一秒たりともこのチームで時間を費やしていない人物のためにチームを去る必要があるというのですか?私はこれまで2年間自分の人生の夢のために鍛錬を重ねてきました。なのにこれまで全くあの厳しい冬のトレーニングを経験すらしていない人物、このチームの全てをわかっていない人物のためにチームを去るなんてことはあるはずがありません)

これは暗にフィールズに対してのかなり突っ込んだコメントではありますが、ここまで言っておいてオハイオ州立大を出ていくというのはそれほどの何かが起きたのだということでしょう。

フィールズは2年制になるアンダークラスマン(下級生)なので、通常ならばNCAAのトランスファールールに則って2019年度シーズンのプレー資格は与えられないはずです。しかし以前ご紹介したように彼は「人種差別を受けたためにトランスファーせざるを得なかった」ということを盾に特別処置として来季からすぐプレーできるようNCAAに働きかえているところです。

彼はシーズンを通してアクティブロースターに名を連ねていましたからこの理由付けはどうかと思いますが、一方でこの国で人種差別は非常にデリケートなトピックです。「人種差別されたのに何もフォローアップがないのか」とでも言う声が上がれば途端に炎上騒ぎになりかねません。となればこの理由でフィールズが即プレー可能になる可能性はありそうです。そしてそれを知ったマーテルが先発争いのゴタゴタに巻き込まれる前にチームを去ったとしても不思議ではありません。

しかしフィールズはポテンシャルがあるとはいえ、まだそれをカレッジレベルで証明するほどの活躍をジョージア大では見せていませんでした。今季からオハイオ州立大はライアン・デイ(Ryan Day)氏が監督として率いることになり、新たなオフェンシブコーディネーターをオクラホマ州立大から引っ張ってきたこともあり、多少のオフェンスのテコ入れはあるのかもしれませんが、マーテルは過去2年間オハイオ州立大のシステム下で練習を積んできており、戦術やプレーブックは当然フィールズよりも熟知しているはずです。つまり必ずしもフィールズが来年先発に自動的に充てがわれるわけではないのにマーテルが転校してしまったことには疑問が残ります。

ひょっとしたらチームがフィールズをリクルートする過程で、マーテルが「自分がチームのコーチたちに信用されていない、自分がいるのにフィールズを呼び寄せた」と落胆、もしくは不信に陥って転校することになったのかもしれません。

ただ理由はどうあれ、当初あれほど吠えていたにも関わらずトランスファーすることにしてしまった彼の決断を外側からの目はあまりポジティブには捉えないかもしれません。こうなったらマイアミ大で活躍するしか方法はないのですが。ちなみにマーテルは先に上げたルールにより2019年度の試合出場資格はありません。ので、彼の姿を拝めるのは2020年以降になります。その時にマイアミ大の先発QBになっていればの話ですが・・・。

ハーツは?

ところでトランスファー市場には最大の注目株である前述のアラバマ大QBハーツがまだ残っています。以前ご紹介したように彼はアラバマ大元オフェンシブコーディネーターでメリーランド大の新監督に就任したマイク・ロックスリー(Mike Locksley)氏を訪ねました。そしてその後にはマーテルの転校先であるマイアミ大にも立ち寄ったということです。マイアミ大にはアラバマ大で彼を直接指導した元QBコーチであるダン・イーノス(Dan Enos)氏が新オフェンシブコーディネーターとして移っていましたから、ハーツにとってはマイアミ大にもコネクションがあることになります。更には彼はオクラホマ大にも足を伸ばしたとか。

【関連記事】アラバマ大QBハーツ、転校を決意か

マーテルがマイアミ大に転校を決めましたが、彼は来季プレーすることは出来ません。ハーツのプレー資格は残り1年であり、すでにアラバマ大で学士号を取った彼は転校先ですぐさまプレーすることが出来ますから、マイアミ大にハーツが移るということも十分に考えられます。特に彼はイーノス氏の指導の下でパサーとしての能力が飛躍的に向上。プロ選手になることを考えているならば更にその腕を磨く必要が有るため、イーノス氏に師事するために彼を追従するかもしれません。

そしてオクラホマ大は過去2年間転校生QBをハイズマントロフィー受賞選手に育て上げたリンカーン・ライリー(Lincoln Riley)監督が居ます。オクラホマ大ならプレーオフを十分狙えるチームですし、3年連続元転校生のオクラホマ大出身QBがハイズマントロフィーをとったともなれば大変なストーリーラインになります。ユニフォームもアラバマ大に似た真紅ですし。

しかしながらラスベガスのオッズでは(彼らはなんでも賭けの対象にします)ロックスリー監督がいるメリーランド大が彼の新天地先として最有力候補だとされているようです。当然ロックスリー監督が使用するであろうオフェンスのプレーブックはハーツがよく知るものになることでしょうから、新たに別のプレーを頭に叩き込まなければならないというプロセスをスキップすることは出来ます。大きな違いはアラバマ大のタレントレベルとメリーランド大のタレントレベルには格段の差があるということ。彼をプロテクトするOL陣、そしてパスをキャッチするWR陣が居てこそQBが活きるというものです。

おそらくハーツの行き先もここ数日のうちに明らかになるでしょう。彼の父親いわく「カレッジフットボールの歴史上最大のフリーエージェント」であるハーツがどのユニフォームを来年着ることになるのか・・・。発表の日を待ちたいと思います。



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