オハイオ州立大の危機?

先週パデュー大でまさかの敗戦を喫したオハイオ州立大。ただ負けただけでなくほぼ完敗とも言える展開にいささかショックを受けました。全米ランキングも2位から11位まで転落。まだまだ彼らが所属するBig Tenカンファレンスのタイトルや、カレッジフットボールプレーオフ(CFP)進出への道が閉ざされたわけではありませんが、それでもランク外チームにいいところ無く敗れ去ったのは意外と言えば意外でした。

今季のオハイオ州立大は様々なドラマを抱えて出発しなければなりませんでしたが、やはり何と言ってもチームの行く末を震わせた事件は開幕前に明らかになった、元アシスタントコーチのドメスティックバイオレンスとその事件に関してオハイオ州立大が取った処置方法をめぐる騒動でした。この件でアーバン・マイヤー(Urban Meyer)監督は虚偽とも取れる発言をし、調査の結果マイヤー監督ならびに大学側に落ち度があったとして彼は開幕後3試合の謹慎処分を受けることになったのです。

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この件に関してマイヤー監督は潔さがあまり見られず、謹慎が解ける頃にも弁明のツイートを何度も公表するなど自分の尻拭いに躍起になっていた感じがします。

開幕後3試合はオフェンシブコーディネーターであるライアン・デイ(Ryan Day)氏がチームを指揮し、見事に3連勝で無傷でチームはマイヤー監督にバトンタッチされました。彼が復帰した第4戦目となるトゥレーン大戦ではホームスタジアムはカリスマ監督復帰ともあり非常に歓迎ムードに溢れていましたが、一方で全米レベルでは3試合の謹慎は甘すぎるという風潮も流れていたことは事実です。

それでもチームが連勝を重ね、5戦目のペンシルバニア州立大戦はアウェーという厳しい状況ながらも27対26と僅差で競り勝ち、更に先週2位のジョージア大が敗れたこともあっていよいよ全米2位にまで躍り出ていたのです。

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順調に見えるオハイオ州立大。しかしその一方で不安要素も無いことはありませんでした。3戦目のテキサスクリスチャン大戦でスターDEニック・ボーサ(Nick Bosa)を怪我で失い、結局彼は怪我の治療に専念するためにチームを離れることを決意しました。そのディフェンス陣は鉄壁のディフェンスとは程遠く、特にパスディフェンスは全米でも中堅以下。唯一ともいえる光明であるQBドゥウェイン・ハスキンズ(Dwayne Haskins)は3試合連続400ヤード以上を投げる荒業を成し遂げはしましたが、まだ2年生という若さからくるプレッシャー下でのパフォーマンスの粗さは否めません。

そして彼らの持っていた不安要素が先週のパデュー大戦で一気に噴出したわけですが、それだけでなくここ最近のオハイオ州立大はちょっといつもと違う感じがしてなりません。

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まず今週頭に情報筋の話としてマイヤー監督と体育局長(Athletic Director=AD)であるジーン・スミス(Gene Smith)氏との間、更にはマイヤー監督と彼のアシスタントコーチの間で軋轢が生じているという噂が立ったことです。

Big Tenカンファレンスの通例会見でこのことを尋ねられたマイヤー監督はスミス氏とは毎日蜜に連絡を取り合う中であり、軋轢などはないと否定しています。パデュー大戦後彼のアシスタントコーチたとちの間にピリピリムードが流れたということに関して言えば、今後チームをどう改善していくかという話をしただけで、それをピリピリムード(テンション)があったというのは言いすぎだ、とそれも一蹴。しかし火のないところに煙は立たないと言いますから・・・。

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先週末のパディー大戦でのマイヤー監督

それにしてもここ最近のサイドラインでのマイヤー監督の姿を見ると以前のときのような沈着冷静さが失われているような気がします。特にパデュー大戦では事あるごとに体中でフラストレートしている感じを全面に押し出し、以前のような落ち着いた感じのマイヤー監督は影を潜めていました。もちろんこの試合は常にリードされる展開で全米2位チームに土がつくかもしれないという試合でしたから、焦るのも当然なのですが。それでも彼のボディーランゲージからは王者の風格が失われていたような気すらしました。

これは彼がフロリダ大を率いていた頃の晩年に似ています。2005年から2010年まで監督を務めたマイヤー監督ですが、2006年と2008年にナショナルタイトルを獲得し、彼の名前はカレッジフットボール界で絶対的なものになりました。しかし2010年には8勝5敗と苦戦し、そして彼は健康上の理由で監督を辞任するに至ったのです。

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フロリダ大時代のマイヤー監督

この2010年度シーズン、明らかにそれまでの強いフロリダ大は鳴りを潜めており、そのせいなのかこの時のマイヤー監督にはカリスマ性だとか活力だとかバイタリティーなどが感じられず、不甲斐ないシーズンを送る羽目になったのです。

この頃のフロリダ大はタレント揃いでしたが、一方でチーム内に問題があったことも分かっています。その選手たちの処置の方法(要するに厳しく取り締まらなかったこと)に批判が起こることもしばしばありましたが、今考えればそういったことがマイヤー監督の心身を蝕んでいたのかもしれません。

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そして前述の通り彼は2010年シーズン後に健康上の理由でフロリダ大を6年という短さで去り、コーチ業から引退することを決めたのです。

が、やはり自身に流れるコーチとしての血が騒いだのか、ドクターからのお墨付きをもらうと2012年からオハイオ州立大監督に就任し、2014年にはナショナルタイトルを獲得。現在ここまでオハイオ州立大で通算77勝9敗、カンファレンス戦だけなら50勝4敗という絶対的強さを誇っています。

しかし先々週のインディアナ大戦では動悸を起こして一時サイドラインで頭を抑えながら膝をつく姿も見られ、彼の健康状態が再び下降気味なのではないかという話も上がりました。彼自身は問題ないが毎日気をつけなければならないことではあると話していました。

彼らしくないサイドラインでの仕草、そして彼の健康状態、おまけに今季開幕前から対処を余儀なくされている元アシスタントコーチに関するスキャンダル・・・。オハイオ州立大、特にマイヤー監督に取ってあまりいいシグナルではありません。

中には今シーズンを最後にオハイオ州立大を離れるのではないかと推測するアナリストたちまで出てきました。が、そうなったとしても現時点ではあまり驚くことではありません。個人的にはこのスキャンダルを受けて今シーズン前試合をデイ氏に任せて謹慎していたほうが良かったんじゃないかと思うくらいです。スキャンダルの渦中で戻ってきたことが心身ともにマイヤー監督をすり減らしているのではないかと・・・。

今週末オハイオ州立大はラッキーにもバイウィーク(試合がない週)です。次戦はアウェーでネブラスカ大と対決。少なくとも今週末試合がないことを利用して一度落ち着いてすべてをリセットできればいいのですが。戦術的にもマイヤー監督の健康のためにも・・・。

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