2017年NFLドラフト終わって・・・

華やかなNFLドラフトも終わり、フットボール界もつかの間の静寂を迎えることになります。カレッジでは春季トレーニングも終わり、選手たちは学生の本分である学業の面で期末試験に向けて右往左往していることでしょう。

今回は4月27日から29日まで行われたNFLドラフトをカレッジフットボールの視点から振り返ってみたいと思います。

カレッジ別ドラフト選手数トップ10

順位 チームRd1Rd2Rd3Rd4Rd5Rd6Rd7合計
1ミシガン大204311011
2アラバマ大432100010
3マイアミ大10012228
ルイジアナ州立大31201018
フロリダ大13110118
ユタ大12015208
7オハイオ州立大32100017
8テネシー大10230006
ノースカロライナ大10121016
クレムソン大20121006
その他
5ピッツバーグ大、テキサスA&M大、UCLA、サザンカリフォルニア大、ワシントン大
4アーバン大、コロラド大、フロリダ州立大、アイオワ大、オクラホマ大、ミシシッピ大
3アーカンソー大、カリフォルニア大、ヒューストン大、ルイジアナ工科大、ノースカロライナ州立大、サンディエゴ州立大、サウスフロリダ大、テンプル大、トレド大、ウエスタンミシガン大、ウィスコンシン大
2ボイジー州立大、ボストンカレッジ、カンザス州立大、ルイビル大、ミシガン州立大、ノースウエスタン大、ノートルダム大、オクラホマ州立大、オレゴン州立大、スタンフォード大、ヴァンダービルト大、ウエストバージニア大など計19チーム
1アリゾナ州立大、ベイラー大、ブリガムヤング大、ジョージア大、ジョージア工科大、ネブラスカ大、ペンシルバニア州立大、テキサス大、テキサス工科大、テキサスクリスチャン大など計50チーム

ミシガン大アラバマ大が二桁数の選手をNFLに送り出しワンツーフィニッシュを飾りました。因みにこの数字はどちらのチームにとっても過去最多のものです。ミシガン大は1972年と1974年に10選手がドラフトでプロリーグへ旅立っていきましたが、この時のドラフトは最大17ラウンドあった時期だった事を考えれば、今回7ラウンド内で11選手も指名されたのは凄い事です。

ポジション別ドラフト選手数

ポジション人数主な選手
QB10ミッチ・トルビスキー(ノースカロライナ大)、デショーン・ワトソン(クレムソン大)他
RB/FB30レナード・フォーネット(LSU)、クリスチャン・マカフリー(スタンフォード大)他
WR32マイク・ウィリアムス(クレムソン大)、コーリー・デーヴィス(ウエスタンミシガン大)他
TE14O.J.ハワード(アラバマ大)、デヴィッド・ヌジョク(マイアミ大)他
OL33ライアン・ラムチェック(ウィスコンシン大)他
DL42マイルズ・ギャレット(テキサスA&M大)、ジョナサン・アレン(アラバマ大)他
LB32ハーソン・レディック(テンプル大)、ルーベン・フォスター(アラバマ大)他
CB32マーション・ラティモア(オハイオ州立大)、マーロン・ハンフリー(アラバマ大)他
S24マリク・フッカー(オハイオ州立大)、ジャブリル・ペッパーズ(ミシガン大)他

QBでは総合2番手でノースカロライナ大ミッチ・トルビスキー(Mitch Trubisky)がシカゴベアーズから指名されました。シカゴベアーズは長年先発の座を任されていたジェイ・カトラー(Jay Cutler、元ヴァンダービルト大)と袂を分かち、先発の座が空いています。つまり彼らはこのトルビスキーに未来を託そうとしている訳ですね。トルビスキーはシーズンが終わりドラフト情報が集められる中でその名を急上昇させてきた選手。大学時代は取り立てて素晴らしい成績を残した訳でないですが、サイズと投力がプロ級のポケットパサーということであのデショーン・ワトソン(Deshaun Watson、クレムソン大)よりも先に指名されたのでした。

RBは豊作の年とされましたが、トータルで30選手も指名されました(FB1人含む)。NFLの総チーム数が32である事を考えると、ほぼ全てのチームがRBを選択したことになります。その中でも一番最初にドラフトされたのはルイジアナ州立大レナード・フォーネット(Leonard Fournette)。全体4位でジャクソンビルジャガーズ入りを果たしました。その他にもクリスチャン・マカフリー(Christian McCaffrey、スタンフォード大)、ダルヴィン・クック(Dalvin Cook、フロリダ州立大)、そして婦女暴行事件の影響でドラフト位置が注目されていたジョー・ミクソン(Joe Mixon、オクラホマ大)らが第1、2ラウンドで指名されていきました。

WRはRBよりもさらに多い32人が夢の切符を手に入れました。マイク・ウィリアムス(Mike Williams、クレムソン大)、ジョン・ロス(John Ross、ワシントン大)と昨年度のプレーオフ出場チーム出身の選手が第1巡目で選ばれていったのに加え、昨年度破竹の勢いで全米を駆け抜けていった中堅チームの雄、ウエスタンミシガン大からコーリー・デーヴィス(Corey Davis)が全体5番目でテネシータイタンズに指名されました。

DLでは予想通りテキサスA&M大のDE、マイルズ・ギャレット(Myles Garrett)がクリーブランドブラウンズに選ばれ、そして彼を含め6人のDL選手が第1ラウンドで指名を受けました。LBではテンプル大ハーソン・レディック(Haason Reddick)が中堅チーム出身でありながらこのポジションで一番最初に指名されていきました(アリゾナカーディナルズ)。他にも4名のLBが第1巡目でそれぞれの名前を呼ばれていったのです。

そして驚きはDB陣です。CBでは32人、Sでは24人、合計56選手がプロ入りのチャンスを与えられました。しかも最初の2つのラウンドだけでCBは10人、Sは9人とトータル19選手が指名されたのです。RB豊作の年なんて言われていましたが、多くのDB陣が早い段階で指名されていった事を考えると、たくさんのチームが才能ある若いDBを補充してパスディフェンスを強化させたいと思っているという事でしょうか。

カンファレンス別ドラフト選手数(FBS)

サウスイースタンカンファレンス(SEC)53
アトランティックコーストカンファレンス43
Pac-12カンファレンス36
Big Tenカンファレンス35
アメリカンアスレティックカンファレンス(AAC)15
Big 12カンファレンス14
ミッドアメリカンカンファレンス(MAC)11
カンファレンスUSA9
マウンテンウエストカンファレンス(MWC)8
サンベルトカンファレンス5

今年のドラフトでも毎年同様サウスイースタンカンファレンスが最も多い53選手をNFLに送り込みました。上に挙げたチームごとのベスト10を見てもSECから4チームがトップに食い込んでいます。それは偏に彼らのリクルーティングパワーをしてポテンシャルの有る選手を抱きかかえてきているからに他有りません。そしてそのレベルを昇華させてくれる有能コーチ陣、そして資金源豊かな所属チームの環境も多からず少なからず影響している事でしょう。中堅カファレンスであるアメリカンアスレティックカンファレンス(AAC)が大御所のBig 12カンファレンスを上回ったのは(たった1人分だけですが)、多少の驚きを隠せません。しかもこのBig12を支えているのはオクラホマ大のみで、もしオクラホマ大(計4人)をカウントしなければ他のミッドメジャーカンファレンスとも大して差がなくなってしまいます。

その他・・・

リクルートされなくても大丈夫?

たった今有能リクルートの話をしたばかりですが、実は今回のドラフト選手たちをよくよく掘り下げていくと全体の約4分の1となる58人の選手たちが、高校リクルート時に全く評価されなかったというデータがあるようです。大抵は1つ星から最高の5つ星でランク付けされるものですが、大学進学時にどのチームからも目をつけてもらえなかった選手でも大学在学中に才能を伸ばし、プロ入りができることをこの数字が証明しています。

ただ、トップランクの元5つ星、4つ星選手は今回のドラフトで98人いたことも事実としてあるのですが。

苦戦した名門出身選手たち

ミシガン大やアラバマ大の選手たちが多数ドラフトされていったことは彼らの選手の層の厚さを物語っていますが、一方で同じく名門とされるいくつかのチームは今回のドラフトで苦戦していました。

ノートルダム大は2人、ネブラスカ大ジョージア大ペンシルバニア州立大テキサス大はたったの1人、そしてオレゴン大に至っては誰一人としてドラフトされなかったのです。オレゴン大は昨年まで32年連続最低でも1人はドラフトされていましたが、その記録も途切れてしまいました。

「500」クラブ

サザンカリフォルニア大のSレオン・マクエイ(Leon McQuay)はカンザスシティチーフスに第6巡目でドラフトされましたが、マクエイはこれでサザンカリフォルニア大出身選手として500人目のドラフト選手となりました。長いドラフトの歴史で500人のドラフト選手を輩出したのはサザンカリフォルニア大が初めてです。

さらにアドリー・ジャクソン(Adoree’ Jackson)が今年第1ラウンドでテネシータイタンズに指名されましたが、サザンカリフォルニア大は歴代最多の第1ラウンドドラフト選手数(80)も誇っています。2位は77人のオハイオ州立大です。

ちなみにサザンカリフォルニア大は歴代ドライチ最多チームでもありますが(ノートルダムとタイの5人)、2018年にドラフト入りが噂されているQBサム・ダーノルド(Sam Darnold)がかなり高い評価をされているので、ひょっとしたら彼が記録を塗り替えてくれるかもしれません。

運命を変えた(?)怪我

ミシガン大TEジェイク・バット(Jake Butt)は全米でもトップクラスのTEとして活躍しましたが、昨年の彼の大学生活最後となる試合、オレンジボウルで膝の靭帯を切る大怪我を負ってしまいました。このせいで彼は今回のドラフトで第5巡目まで転げ落ちてしまいました。

最高で第1巡目で指名されるのではと言われていたバットは4億円と噂されていた契約金が、膝の怪我のせいで4000万円にまで暴落したと予想されています。不幸中の幸いで彼には約5500万円の保険金が降りることになったらしいのですが、それでも約3億円をボウルゲームに出場したことでドブに捨てたことになります。

ルイジアナ州立大のレナード・フォーネット、スタンフォード大のクリスチャン・マカフリーらが怪我を恐れてボウルゲーム出場を辞退し批判を浴びましたが、バットの話を聞けば彼らの不出場をとやかくは言えないと思います。それだけの大金がドラフトで動いているのですから。

グリフィーの血筋

MLBシアトルマリナーズで活躍し殿堂入りも果たした名選手、ケン・グリフィー・Jr(Ken Griffey Jr)。彼の息子であるトレイ・グリフィー(Trey Griffey)はフットボール選手としてアリゾナ大でプレー(WR)していました。彼が今回のドラフト中に指名されることはありませんでしたが、ドラフト後にインディアナポリスコルツドラフト外フリーエージェント契約を結んだことが明らかになりました。

昨年アリゾナ大では32回の捕球で382ヤードに2TDと際立つ数字を残してはいませんでしたが、今回一人のWRもドラフトしなかったコルツはトレイにチャンスを与えたということになります。

実は野球もプレーするトレイは昨年24巡目にマリナーズからドラフト指名された過去もあります。しかし父と違い彼はフットボールの道を選び、今回のチャンスを手繰り寄せました。果たしてグリフィーの名に恥じない活躍をすることができるでしょうか?(その前にロースターに残らなければなりませんが)

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