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2019年NFLドラフト終わって・・・【その3】

2019年NFLドラフト終わって・・・【その3】

カレッジフットボールファンの目線から今年のNFLドラフトを振り返る第3弾。最後となる今回は今年のドラフトにまつわるカレッジフットボールのこぼれ話、主にこのドラフトで発生した「記録」の話です。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

今年の「Mr. Irrelevant」

今年の総合ドライチ選手はオクラホマ大出身のQBカイラー・マレー(Kyler Murray、アリゾナカーディナルズ)でした。そこから順番に各チームが7巡かけて選手を指名していったわけですが、始まりがあれば終あり・・・。今年も最後の最後でギリギリ「拾われた」 選手もいたわけです。

NFLドラフトではその年の最後に指名を受けた選手を「Mr. Irrelevant」と名付けています。「最も注目の薄い選手」とでも和訳できるでしょうか。

参考記事NFLドラフトに関する逸話

ドラフトされたのにもかかわらずこんな言われようになるのもまた一興ですが、今年の「Mr. Irrelevant」はUCLA出身のTEケイレブ・ウィルソン(Calab Wilson)でした。選択したのはアリゾナカーディナルズでしたが、これで今回のドラフトはアリゾナカーディナルズに始まりアリゾナカーディナルズで終わったという形となったのでした。


Big Tenの不名誉記録に終止符

オハイオ州立大出身のQBドゥウェイン・ハスキンズ(Dwayne Haskins)がQBとしては3番目となる第1巡目第15番目にワシントンレッドスキンズに指名されました。ドラフトをフォローされた方ならば誰しもがニューヨークジャイアンツが第6番目にハスキンズではなくデューク大出身のダニエル・ジョーンズ(Daniel Jones)をドラフトしたことに驚かれたとは思いますが、ハスキンズも程なくして第15番目で見事プロ入りの切符を手に入れました。実はこの事はオハイオ州立大が所属するBig Tenカンファレンスにとっては非常に歓迎すべきことだったのです。

というのも実はBig Ten出身QBは過去24年間も第1巡目で指名されてこず、今回ハスキンズが第1巡目でドラフトされたことによりその長き悪しき伝統にピリオドを打つことが出来たからです。

最後にドラフトされたBig Ten出身QBはペンシルバニア州立大ケリー・コリンズ(Kerry Collins)氏。彼は1995年にカロライナパンサーズにドラフトされたあと様々なチームを渡り歩き2011年に引退。その彼が引退したあとも7年間Big Tenから第1巡目QBが輩出されることはなかったのです。

24年間と一言で言うと簡単ですが、この間アメリカの大統領は4人も代わっていますし(ビル・クリントン、ジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマ、ドナルド・トランプ)、今では14チーム編成のBig Tenは当時11チームでしたし、1995年にBig 12は存在すらしていませんでした(サウスウエストカンファレンスBig 8カンファレンスが合併して1996年から事実上発足)。そう考えるとなかなか凄いことですよね。

ただだから言ってBig Ten出身QBがNFLで成功していないというわけではもちろんありません。例えば2001年に第2巡目にサンディエゴ(当時)チャージャーズにドラフトされたパデュー大出身のドリュー・ブリーズ(Dre Brees)とか、2012年に3巡目でシアトルシーホークスにドラフトされたウィスコンシン大ラッセル・ウィルソン(Russell Wilson)、そして当然2000年に第6巡目でニューイングランドペイトリオッツにドラフトされたトム・ブレディ(Tim Brady)など。ということは逆に第1巡目にドラフトされなくてもリーグで大成する選手はいるわけです。

ハスキンズが第1巡目で指名されたからと言って彼がNFLで大成するという保証もないのですが、とはいえ24年ぶりのBig Ten出身ファーストラウンドQBであるハスキンズにはぜひレッドスキンズで奮闘してもらいたいですね。

セイバン監督の偉業

もうご存知かと思いますが、ここ数年ドラフトを席巻しているのは言うまでもなくアラバマ大出身選手たちです。昨年に続き今年もドラフト総数でトップに立つ10人をプロに送り込むことに成功。第1巡目にはDTクインエン・ウィリアムス(Quinnen Williams、ニューヨークジェッツ)、OTジョナ・ウィリアムス(Jonah Williams、シンシナティベンガルズ)、RBジョシュ・ジェイコブス(Josh Jacobs、オークランドレイダース)の3選手が指名されていきました。

これによりアラバマ大のニック・セイバン(Nick Saban)監督が輩出したファーストラウンダーの総数が34人となり、これまで34人で最多数を誇っていた元マイアミ大ノースカロライナ大で現フロリダインターナショナル大ブッチ・デービス(Butch Davis)監督に並びました。またセイバン監督はカレッジフットボール界のレジェンドでもある元ペンシルバニア州立大ジョー・パターノ(Joe Paterno、33人)氏、元フロリダ州立大ボビー・バウデン(Bobby Bowden、32人)という大御所を今年抜き去ったことにもなります。

34人のうち過去11年間指導してきたアラバマ大出身選手は29人。あと2人がルイジアナ州立大時代、そして3人がミシガン州立大時代にそれぞれ第1巡目に指名されていきました。

連続記録途絶える

ネブラスカ大

かつて上記のアラバマ大のように一世風靡したチームであるネブラスカ大。全米優勝は5回、カンファレンスタイトルは46回獲得したことがある大御所はNCAA史上8番目の最多勝利数(897勝、20195月年現在)を誇り、1970年代から1990年代にかけてチームを指揮した名将トム・オズボーン(Tom Osborne)氏時代にはダイナスティーを築き上げたのです。

そんなネブラスカ大からも多くの選手がNFLドラフトでプロ入りを果たしてきましたが、なんと今年は同大出身ドラフト選手がゼロという事態に。1962年から毎年プロチームに選手を送り込んでいたため、今年それが途絶えたことで連続記録が56年で打ち止めとなってしまいました。

ネブラスカ大は1997年にナショナルタイトルを獲得して以来その高みにいまだ届いていません。リーグタイトルからも1999年以来遠ざかっていますし、2011年にBig 12からBig Tenに鞍替えしたあとも目立った活躍がないどころか、2015年に就任したマイク・ライリー(Mike Riley)元監督指揮下の4年間で3度も負け越しシーズンを味わうなど最近では過去の栄光の面影はまったく見えませんでした。

ただライリー元監督が解雇され昨年から指揮を取っているのは上に挙げた1997年の全米優勝時のQBで若き勇将スコット・フロスト(Scott Frost)監督。2年前に中堅チームのセントラルフロリダ大を完全無敗に導いた手腕を買われて母校に凱旋したわけですが、現地ではこれまでにない盛り上がりを見せています。フロスト監督以下現コーチ陣により来年以降のNFLドラフトでは再びネブラスカ大出身選手の勇姿を拝めることができるでしょうか?

バージニア工科大

また同じように連続記録が途絶えたチームがあります。アトランティックコーストカンファレンスバージニア工科大です。

彼らの場合はネブラスカ大の記録の約半分である25年連続記録ですが、それでも長い記録であったことに変わりはありません。

バージニア工科大は長い間カレッジフットボール界では存在感の薄いチームでした。しかし1987年にフランク・ビーマー(Frank Beamer)氏が監督に就任すると徐々に力を蓄え成長し1995年には当時所属していたBig Eastカンファレンスのタイトルを獲得。それを1996年にも手に入れて連覇を果たすと強豪チームの仲間入りを果たします。1999年にはあのマイケル・ヴィック(Michael Vick、元アトランタファルコンズ他)氏を擁してナショナルタイトルゲームにまで進出(フロリダ州立大に敗戦)し、それ以降も毎年戦えるチームを世に送り出してきました。

スキャンダルもなく正統派のコーチングスタイルで多くの人びとから愛され尊敬されたビーマー氏は2015年に引退。その後は元メンフィス大ジャスティン・フエンテ(Justin Fuente)監督に率いられていますが、最初の2年間は良かったものの昨年は6勝7敗でなんと26年ぶりの負け越しシーズンを味わうまでにいたりました。

28年間かけてビーマー氏に育て上げられたバージニア工科大がフエンテ監督体制で下降線を辿るかどうかという不安が地元を取り巻いていますが、それにダメ押しする形で今回のドラフト連続記録が途絶えるというニュースが飛び込んできたのですからバージニア工科大ファンは気が気でないでしょうね。

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