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転校ルールとレッドシャツルールが改正へ

転校ルールとレッドシャツルールが改正へ

全米大学体育協会の主な仕事はそれぞれのスポーツが安全・公平にプレーされるようにルールを定めることですが、時代の流れやニーズによってそれを常にアジャストしていくものです。先日も選手の安全性を高めるためのルール改正が行われましたが、この度NCAAが転校とレッドシャツに関するルール改正を決定しました。

転校ルール

今回改正されたトランスファー(転校)ルールは、選手が転校したい意思があった場合、それを所属するチームが拒否できない、言い換えれば転校したい選手はお咎めなしでチームを出ていけるというものです。

なぜこれが重要視されているかといえば、これまで数々のチームで転校したい選手を放出させない、つまり転校を妨害する行為がなされてきたからです。

これがよく起きるのがアラバマ大です。彼らは多くの有能リクルートを毎年チームに抱えており、そうなると先発出場の道も狭くなるわけです。そうしてプレーの機会を与えられない選手が転校して新天地を探したいとしても、大学側がそれを許さないというニュースが頻繁でないにしろよく聞かれました。

またカンザス州立大でも同じようにビル・シュナイダー(Bill Synder)監督が転校したい選手をブロックし続けたという事件もありました。

【関連記事】カンザス州立大でのトランスファーを巡る騒動

ただ実際に「ブロックする」というのは完全にチームが転校したい選手をそうさせないというわけではありません。当然大学を勝手に辞めて他の大学に編入することは選手個人の問題なのです。しかしここでいう「許可しない」というのは、転校先でスポーツ奨学金(スカラシップ)を与えさせない、ということでした。

どういうことかというと、元々のチームにリクルートされて奨学金を得た選手が転校した先でも奨学金をもらうには、そのチームがそれを許可しなければならないというルールがあるからなのです。大学選手にとっては家庭の事情で学費を払ってもらえるかどうかは死活問題である場合が多く、転校した先でもスカラシップが貰えなければ学業を継続できなくなるというケースもあるのです。

選手をリクルートした監督らにすれば、いかにその選手のプレー機会が減ったとしても、それを理由に簡単に彼らを放出できない理由もあります。まずはそのように自分たちがリクルートして育てた選手が他のチーム、特に所属するカンファレンス内の別のチームに転校してしまえば、敵に塩を送るようなものです。そしてそれを許すことによって、プレーできない選手たちの大流出が起きてしまうかもしれないという懸念もあるのです。

しかしそれは一方的に大学やチームの事情であり、チームが自分に合わなかったり、違う環境でプレー機会を模索したい選手にしてみれば、それをブロックされるのは非常に理解しがたいことでした。確かにナショナルサイニングデーでサインをして4年間そのチームのためにプレーするという契約を結んだという事情もあります。が、結局はまだ二十歳そこらの若者の決断であり、彼らの長い人生で別のオプションがあったとしても全く問題はないと思うのです。

今回のルール改正においてこの選手側が受ける不当な扱いが取り払われることになりました。これで転校したい選手がチームからの許可を得ることなく自分の名前を「転校希望選手データベース(National Transfer Database)に登録することができ、他の大学チームが自由に選手たちにコンタクトを取ることが許されることになったのです。そして転校先でスカラシップがオファーされれば選手は古巣チームからの妨害を受けることなくそれを受け取ることができるようになります。

この新ルールは10月15日から施行の予定です。

これでコーチ陣は2軍以下の選手への扱いを多少変えていかなければならなくなるかもしれません。選手たちがチャンスを与えられないために転校するのを阻止するために、少しでもいいからそういった選手にプレーの機会を与えて、彼らが新天地へ行きたくなるような気持ちを目醒めさせないようにするのです。新たなルールができればそれを現場で最大限に活かしたり、被害を最小限に抑えたりする適応能力が求められるわけですね。


レッドシャツルール

レッドシャツ」とは選手に与えられたその年のプレー資格を温存するという意味です。例えば新入生の中で即戦力にはならないと分かっている選手は少なくとも4年間のうち3年間しかプレーする機会が与えられません。そうなると最初の1年間のプレー資格は宝の持ち腐れとなってしまうわけです。これを無駄にしないためにそういった選手たちを「レッドシャツ」扱いにして、そのシーズンのプレー資格を将来にとっておくことができる、というシステムです。

「5年目の4年生(5th year senior)」という言葉をよく聞きますが、これは在学中のいずれかの年に「レッドシャツ」を使ったため、4年生時にはすでに5年目を迎えている選手たちのことを指します。

しかしレッドシャツ中は練習は出来ても試合には基本的に出られないため、実践経験は大きく不足してしまうことになります。これをなんとかしたいとコーチたちはルールを改正してレッドシャツ中でも数試合でも構わないから選手に実践経験を積ませたいと訴えてきたわけです。

そしてこれに応えるようにNCAAは今回レッドシャツでも4試合までなら試合に出場できるようにルール改正したのです。

この新ルールならばレッドシャツの1年生でも例えばシーズン開幕4試合とか交流戦(ノンカンファレンス戦)に出場させるとか、開幕数試合とボウルゲームに出場させるとか、選手の起用法・育成法に柔軟性が生まれることになります。

ただ残念ながらこのルールが適用されるのは今後チームに入ってくる選手だけで、過去にすでに数試合プレーしてしまって試合資格を使ってしまった選手には適用されません。新ルールの施行は2018年度シーズンからです。

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