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ミシガン大に突きつけられた現実

ミシガン大に突きつけられた現実

2017年度シーズンのミシガン大

2017年度のミシガン大フットボール部は開幕時に11位で発進し、4連勝して全米7位にまで上昇しますが、5戦目に週内ライバルのミシガン州立大に14対10の僅差で敗戦。次戦のインディアナ大戦での勝利を経て第7戦目に当時全米2位にまで躍り出ていたペンシルバニア州立大と対決となりました。

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2016年度に両チームが対戦した時はミシガン大が49対10と大勝。しかしペンシルバニア州立大はそこから勝ち星を重ね続けて結局Big Tenカンファレンス優勝を飾りました。そして翌年の2017年度もその勢いのままにミシガン大戦を控え2位まで上昇してきたのです。

一方のミシガン大はというと3年前にジム・ハーボー(Jim Harbaugh)監督が就任した時に起きたちょっとしたフィーバーの末に抱かれたファンたちの期待とは裏腹に、なかなか結果を残せない不完全燃焼なシーズンが続いていました。そしてこのペンシルバニア州立大の試合では彼らにリベンジを決められ42対12と完全にノックアウトされてしまったのです。

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この敗戦のせいでミシガン大は全米ランキングから脱落。彼らがランキングから姿を消すのはハーボー監督のデビュー年だった2015年の9月以来のことでした。


ハーボー監督への大きな期待

就任以来何かと世間を騒がしてきたハーボー監督。2016年の時点でカレッジフットボール界最高額となる年収900万ドル(約10億円)を稼ぎ、サテライトキャンプを巡ってSECと対立したり、チームをイタリア遠征に連れて行ったりと何かと話題に事欠かない人物でした。

1年目にいきなり10勝3敗とチームをウィナーに転嫁させたゆえに彼への期待度は大きく上がって行ったわけですが、2年目にも10勝3敗と二桁勝利シーズンを送ったにもかかわらず、ファンの間ではどちらかというとため息が漏れるシーズンとなってしまいました。それは最高で全米2位になりながらもカレッジフットボールプレーオフ(CFP)出場を逃すだけでなく、カンファレンスタイトルも奪えなかった(タイトルゲームにすら進めなかった)ことが響いているのだと思います。

ただそれでもハーボー監督のコーチ力に疑問を持つミシガン大ファンはそこまでいたとは思えず、いつかはやってくる栄光の日を彼らは待ちわびていたのです。

しかし2017年度は完全に退化の年となってしまったミシガン大。結果的に8勝5敗でボウルゲームでもサウスカロライナ大に負け、なんとも言えない後味の悪さだけが残ってしまいました。おそらくファンの中にも「うーん」と首をひねる人たちの数は増えてきているのではないでしょうか。

何よりも最大のライバルであるオハイオ州立大に未だ勝てず、そして彼らを尻目にニック・セイバン(Nick Saban)監督率いるアラバマ大ダボ・スウィニー(Dabo Swinney)監督率いるクレムソン大がコンスタントにCFP出場を果たすだけでなく、若手のリンカーン・ライリー(Lincoln Riley)監督率いるオクラホマ大カービー・スマート(Kirby Smart)監督率いるジョージア大もプレーオフに進出するを見れば、流石のファンもミシガン大の行く末を少しは心配するようになることでしょう。

先行き不安?

もっとも昨年のチームからは実に20人の先発メンバーが抜け、その中の16人はNFL入りを果たすほどの実力を持つ選手でした。そしてハーボー監督自身がリクルートしてきた「生え抜きの選手たち」はリクルーティングランキングではトップクラスであっても未だ1年生と2年生と若い選手ばかりだという事実も存在します。

昨年はプレシーズンランキングで11位にランクインしましたが、そこまで彼らが高順位で発進できたのはハーボー監督という「ブランド」と、若い選手たちへの的確な指導力を示してきたコーチ陣の手腕への評価と期待があったからでしょう。

特に守備陣に関してはペンシルバニア州立大に大敗した後も全米でもトップ10入りするほどの力を持つユニットでした。その一方で足を引っ張ったのは攻撃陣。数字だけ見ればどのカテゴリーでも全米でも下位に甘んじてしまったのです。

近代カレッジフットボールにおいてシーズン中に2敗してしまったらそのチームの天下獲りへの道は閉ざされると見てまず間違いありません。ハーボー監督就任初年度の2015年には中盤までに2敗をすでに喫してしまい、タイトル獲りの話は消えてしまいましたが、それでも前任のブレディ・ホーク(Brady Hoke)氏がミシガン大の地位を下落させたことを考えれば、ハーボー監督の初年度はファンらを喜ばせるには十分なシーズンでした。

彼の2年目となる2017年度はシーズン終盤まで無敗を守り、全米2位まで上り詰めましたが、アイオワ大とライバル・オハイオ州立大に敗れプレーオフどころかカンファレンスタイトルゲームにも進めませんでした。

そして3年目の昨シーズン。前述の通り開幕時には11位に付けましたが、終わってみれば8勝5敗と平凡な戦績に落ち着いてしまったのです。就任当初に溢れていたファンの興奮はいつの間にかため息に変わっていたのでした。

ハーボー監督というカリスマ的指導者に率いられた名門チームを無条件に持ち上げるファンらの盲目的な愛情は消え、いよいよ現実が霧の中から現れ始めたと言うわけです。

「これからの評価は我々チームとしての出来にかかっているのは皆分かっています。」とQBジョン・オコーン(John O’Korn)が話すように、選手たちも今後の状況をひしひしと感じているようです。

ミシガン大に待ち受ける試練

チャンスさえあればプロリーグへ復帰をするのではないかとささやかれているハーボー監督ですが、今の所母校のミシガン大にかつての栄光をもたらすべくその全てをコーチングに注いでいる模様。最後にミシガン大がナショナルタイトルを獲得したのは1997年度シーズンのこと。もっと言えば、名門と謳われるミシガン大でも1997年より以前に全米制覇を成し遂げたのは1948年まで遡らなければなりません。これまでトータルで11度の全米王者の栄冠を手にして来ましたが、その殆どは1948年以前の事なのです。

ですからライバルのオハイオ州立大が2002年と2014年という比較的最近にナショナルチャンピオンになったり、アラバマ大が2000年以降5度もタイトルをとったり、さらにはクレムソン大やジョージア大のようなチームも台頭していくのを見れば、ミシガン大のような古豪チームも「次は我々だ!」と声を荒げたくもなる事でしょう。

そして今の所ハーボー監督以外でそれを成し遂げられる人物は見当たりません。カレッジレベル(スタンフォード大)とNFL(サンフランシスコ49ers)で成功を収め、そして大学の卒業生で元スターQBと肩書きだけ見ればミシガン大の監督になるべくしてなった人物。それゆえ彼の指導力に疑いの目を持つ人は少ないですが、いかにハーボー監督といえどファンや関係者を満足させることができなければ遅かれ早かれ非難の目は彼に向かれることになります。

そしてそのハードルは二桁勝利などではなく、カンファレンスタイトル、そしてその先のナショナルタイトル獲りということになります。それが達成されなければハーボー監督をしても「失敗者」というレッテルを貼られかねません。なんともシビアな世界です。

カレッジフットボール界の繁栄のためにも是非ともミシガン大の大復活を期待したいところです。

【参考記事】Michigan failing to meet Harbaugh-inspired expectations

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