2017年度版「サテライトキャンプ戦争」勃発?

ルイジアナ州立大テキサス大は同じカンファレンスに所属しているわけではありませんが、州同士が隣接していることもあり、ことリクルーティングに関しては宿敵同士であるといえます。実際のところ両チームはリクルーティングランキングで5本の指に入ると言われています(by ESPN)。

実際のフィールド上では苦戦続きのテキサス大ですが、オフシーズンにヒューストン大から若手のホープとされるトム・ハーマン(Tom Herman)氏を監督に招き、再起を図っているところ。それはリクルーティングにも及び、先日もそのためのサテライトキャンプをルイジアナ州ハモンド市で行う予定でいました。

ディビジョン3部のベルヘブン大がホストする予定だったこのキャンプ。しかしこのハモンド市というのはバトンルージュ市からたった45分しか離れていません。そしてこのバトンルージュ市は前述のルイジアナ州立大のお膝元であるのです。つまりテキサス大がリクルーティングのために(表向きは技術指導の合宿ですが)ルイジアナ州立大の「縄張り」に入り込もうとしていた訳です。それをルイジアナ州立大が黙って見ているわけがありません。

まずこのキャンプが予定されていたBRECメモリアルスタジアムが突如としてキャンプ開催を拒否。ホストであるベルヘブン大は高校の施設にキャンプを移すことを余儀なくされます。が、結局キャンプ自体を中止する羽目になってしまったのです。それもこれもルイジアナ州立大が開催施設や関係各所に圧力をかけたからだというのがもっぱらの噂です。

実はこのようにテキサス大が関わる予定だったルイジアナ州で行われるはずのサテライトキャンプがルイジアナ州立大によってもみ消されたのは3度目のことらしいです。

今回のキャンプに関していれば地元の高校コーチであるマイク・ローチ氏がもともとお膳立てをしていたということですが、後日それから手を引いたということです。テキサス大で息子がプレーしているローチ氏ですが、「我々はルイジアナ州立大のお膝元にいます。自分の庭は自分で守る、という精神が働いたんでしょうね」とルイジアナ州立大の影響を暗に指摘していました。

ホストのベルヘブン大のヘッドコーチで元ケンタッキー大の監督を務めたこともあるハル・マミー(Hal Mumme)監督は当初「もうここまできて彼ら(ルイジアナ州立大)が我々のキャンプを阻止することは出来ないはずだ。もしそんな手があるなら大雨を降らすくらいしかないだろうね。」と話していましたが、まさか本当に中止に追い込まれるとはマミー監督も思っていなかったんでしょうね。

このキャンプ中止を受け怒りの収まらないマミー監督は以下のように話しました。

「これは絶対ルイジアナ州立大からの圧力があったからだ。(ルイジアナ州立大のエド・オルジェロン監督を指して)あいつは「パラノイド・エド」(妄想癖のエド)だ!」

このキャンプ中止によりベルヘブン大は5000ドル(約50万円)の損失を被ったと言います。ベルヘブン大のような小さな3部のチームにとって5000ドルの損失は決して安い代償ではありません。

マミー監督はさらに続けます。

「ルイジアナ州立大のヘッドコーチならば、自分がリクルートしていない高校生たちが参加できるようなフットボールキャンプを開催することは喜ばしいことだと感じるべきだ。そのようにルイジアナ州立大に行きたくてもいけないような高校生たちのことを思ってあげるべきなのです。私もかつてサウスイースタンカンファレンスのある州のフラッグシップ大学(ケンタッキー大)でコーチをしたことがあるからわかるのです。自分がリクルートしている高校生だけでなく、その他の子供達のことも考えてあげないといけないんです。」

そしてマミー監督はルイジアナ州立大の行いをNCAAに申し立すると宣言しました。ただキャンプ開催自体のルールはあっても、間接的に圧力をかけてそれらを阻止することを禁じるルールは今の所NCAAにはないようですが・・・。

ルイジアナ州立大自体もこのことに関して「我々はNCAAのルールを犯すようなことは何一つしていない」と反発しています。もちろん規則違反はしていないのでしょう。ただそれが倫理的かどうかは疑問が残りますが・・・。

実はルイジアナ州立大がテキサス大を敵視するのには、ハーマン監督がルイジアナ州立大からの監督就任の要請を断ったことが関係していると言われています。ルイジアナ州立大は昨年シーズン途中にレス・マイルズ(Les Miles)監督を解雇。そしてその後釜に実力抜群の若手コーチであるハーマン監督に白羽の矢を立てたようとしていたようですが、ハーマン監督はこれを蹴り、のちにテキサス大の監督に就任しました。ルイジアナ州立大はマイルズ氏が解雇されて以来臨時ヘッドを務めていたオルジェロン監督をそのまま新監督に据えたのです。

しかしルイジアナ州立大の手法には地元の高校ですら意義を唱えているということです。というのも地元の高校や小さな大学が大きな大学チームのコーチたちを招くことができるのはそのキャンプの重要な売りであり、それをしらみつぶしに阻止するルイジアナ州立大のせいでそれらのキャンプが移動を余儀なくされるかもしくはキャンセルしなければならなくなっているからです。

実際これまでにもオルジェロン監督率いるルイジアナ州立大はルイジアナ州外からの強豪チームのコーチが参加するサテライトキャンプを阻止し続けてきました。これまで分かっているものではミシガン大、テキサス大、テキサスA&M大、ヒューストン大らが関わろうとしてたキャンプがその影響を受けたと言います。またそれらのチームのコーチたちを招待しようとしていたルイジアナ州所属のトゥレーン大とサウスイースタンルイジアナ大はそれらのゲストを呼べない代わりに新たなゲストを迎えることになったということですが、それが誰だか予想はつきますよね。

そうです、ルイジアナ州立大のコーチたちです。

オルジェロン監督は「夢の」ルイジアナ州立大の監督就任に際し、必ずチームをナショナルタイトルを取れるチームに再建すると約束しました。そしてそのためにはリクルーティングは最優先課題の一つであり、豊富なタレントを抱えるルイジアナ州内の高校生は取れるだけ取り、その他の選手たちが他のチームに流失しないように奔走しているのです。

チーム作りにおいてリクルーティングが大変重要なことは十分承知していますが、今回のようなことはなんだか潔くなくて格好悪いと感じてしまうのは私だけでしょうか?もっともあのマイルズ監督ですら解雇されてしまったルイジアナ州立大の監督として、オルジェロン監督はすでにチームが勝てなかった時のことを恐れてなりふり構わなくなっているのかもしれませんが。そうだとしたらちょっと同情してしまいます。