カレッジフットボールの光と陰〜ジーン・チジック氏の場合〜

6月18日は父の日でしたね。世界各地でパパたちが「レアな」賛辞をいただく日となったのでしょうが(笑)、家族を大変重んじるアメリカでは至る所で父の日のイベントやら行われているようでした。カレッジフットボール界でも子を持つコーチなどは忙しい毎日で時には子供の顔も満足に見れないとしても、この日ばかりは家族と一緒に過ごしたいと思っていることでしょう。

アーバン大ヘッドコーチで昨年までノースカロライナ大のディフェンシブコーディネーターを務めていたジーン・チジック(Gene Chizik)氏は現在コーチ業を休職中。彼がコーチングの世界を去ったのは「家族との時間をもっと確保し、父の役目を果たすため」ということでしたが、彼はこの決断を今も後悔していないと言っています。

ノースカロライナ大のチジック氏が退団へ

「この春私は息子の野球の試合全25試合を観戦することが出来ました。そして他の親御さんがするようにスタジアム横のフードスタンドでハンバーガーを作る手伝いもしたこともありました。また現在アーバン大で2年生の双子の娘たちともかけがえのない時間を過ごすことができました。時にそれは父と娘のデートであったり、またある時は夜遅くまで人生に関する話をしたり・・・。どちらであってもそれは大変貴重な時間でした。」

チジック氏は2009年から2012年までアーバン大で指揮をとり、2010年にはQBキャム・ニュートン(Cam Newton)らを擁して14勝無敗でナショナルチャンピオンに輝きました。しかしその2年後には3勝9敗と大きく星を減らし全米制覇から僅か2シーズン後に解雇されてしまいます。

2015年にノースカロライナ大のDCに就任するまでの2年間は現在のように家族と過ごす時間をたっぷり持てていたようです。そして彼は2015年に再びコーチ業に復帰。ノースカロライナ大ではチームの躍進に大きく貢献し、初年度にはACCチャンピオンシップにコマを進めるまでに至りました。しかしそれは同時に彼自身が再び忙殺の日々を過ごさなければならないことを意味していました。

「この春まで私は息子の野球の試合をたったの2度しか観戦できませんでしたし、また私の娘たちがアーバン大に入学する際、寮に入寮するのも手伝ってあげられませんでした。2016年の夏のプレシーズンのとある練習日、ノースカロライナ大のキャンパスで多くの新入生が家族の手助けとともに入寮していくのを見かけました。そしてその時私の家族は遠く離れたアーバン大で娘たちのために同じことをしていました。そしてそこに私はいてあげられなかった。この時私は決意したのです。この生活を変えなければならないと。」

もちろん子供を持つコーチは全米に山ほどいますし、チジック氏のように子供の行事に参加できないコーチも数知れずです。それを両立させることの出来る人もいるでしょうが、チジック氏にとってはそれが出来なかったのでしょう。どちらがいいとか悪いとかではなく、人生観は人それぞれということですよね。

「現在多忙だった日々から離れて得ることができたのは子供たちとの貴重な時間と新しい人生観です。これまで長い間忙し過ぎてしてこれなかったことを今出来ていることは本当に素晴らしいことです。私の息子は高校であと2年間残っています。私は彼のフットボールの試合や野球の試合を全部観戦すると決めました。もうやり残した、という思いをしたくないのです。」

現在55歳とコーチとしてはまだ若いチジック氏。将来的にまたコーチング業に復帰する可能性もあるのかも知れませんが、とりあえず彼の息子が高校を卒業するまでは家族優先で過ごしていくということです。

カレッジフットボールのシーズンは9月からの約4ヶ月ですが、そこに携わるコーチ、スタッフはほぼ年中無休で働き続けています。フィルムの解析、リクルーティング、来たるシーズンへのプランニング・・・。これを長年こなしていくのは容易いことではないでしょう。そこには家族への犠牲も大なり小なりあるに違いありません。逆に言えば家族を持ちながら長いことコーチング出来ているコーチにはそれを最大限サポートしてくれる家族がいるということでしょう。またそれを補うだけの大金を稼いでいるコーチもいるでしょうが、子供や家族との時間はお金では買えませんからね。

家族、健康、人生観・・・それらをバランス取りながらコーチしていくことは誰にでも出来ることではないですね。

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