エクストラポイント【第5週目】

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ルイジアナ州立大、トロイ大にホームで敗退

アメリカの大学には「ホームカミング」という、卒業生たちが年に一度キャンパスに戻ってくる、同窓会的なイベントがあります。その集大成となるのはその大学のフットボールゲームです。いつもよりさらに多くの観客が集まるホームカミングの試合には大抵勝てそうなチームをブッキングするのが常です。先週ルイジアナ州立大は彼らのホームカミングでしたが、その「カモ」チームとしてトロイ大をホームに迎えました。もちろんこのゲームではホームカミングの最後を飾るイベントとして華やかに勝利で終わる筈でしたが・・・。なんと逆にトロイ大に苦渋を味あわされる羽目になったのでした。

ホームカミングで敗れるという汚点を残してしまったのはもちろんのこと、ホームでのノンカンファレンス戦での敗戦は2000年のUAB(アラバマ大バーミンガム校)戦以来17年ぶり。これでホームでのノンカンファレンス戦連勝記録も49連勝でストップしてしまいました。

さらに通常このような格上のチームが格下のノンカンファレンスチームをホームに招待する場合にはそのチームに大金を支払うのが常となっています。つまり、ルイジアナ州立大はトロイ大にお金を払って(98万5000ドル、約1億円!!)ホームカミングゲームに呼び寄せて楽勝を画策していたところ、まんまと返り討ちにされてしまった、というわけです。

トロイ大のオフィシャルツイッターも下のようなツイートを残しルイジアナ州立大を皮肉っています。

トロイ大にしてみれば大金を受け取りなおかつ大御所から大金星を頂戴するという、またとない土曜日となったのでした。

ちなみにルイジアナ州立大のエド・オルジェロン(Ed Orgeron)監督ですが、今季正式にHCとしてチームを率いることになっていますが、その経過は「・・・」という感じです。実はこの日彼がこれまでコーチングキャリアの上で関わってきたサザンカリフォルニア大(臨時監督など、2010-2013)、テネシー大(アシスタントHC、2009)、ミシシッピ大(監督、2005-2007)、シラキュース大(DLコーチ、1995-1997)らは全て負けてしまったのです。偶然か否か・・・。オルジェロン監督には近寄らないほうがいいかも?!

に、逃げて!!

カレッジフットボールを語る上で忘れてはならないのは、スポーツ専門局「ESPN」が土曜日の午前中に生放送するプリゲームショー「カレッジゲームデー」です。彼らがカレッジフットボールのファン拡大・普及に大きく貢献したのは周知の事実で、今ではなくてはならない風物詩となっています。その番組のキャストメンバーで1987年からのオリジナルメンバーでもあるリー・コーソ(Lee Corso)氏は、元はインディアナ大監督を務めた現場の人間でしたが、長年にわたりこの「カレッジゲームデー」を支えるキーパーソンです。彼は番組の最後に行われる試合勝者の予想で、その週の目玉ゲーム(大抵はその週に「カレッジゲームデー」が行われるロケーション)の予想勝者チームのマスコットの被り物を観衆の面前で披露することで知られています。

そのコーソ氏以下の番組メンバーは先週クレムソン大バージニア工科大の試合会場で番組を生放送しましたが、彼らはそのままキャンパスに留まり夜の試合を観戦。コーソ氏もサイドラインでこの試合を見守っていました。その試合中ある場面でクレムソン大QBケリー・ブライアント(Kelly Bryant)が右サイドにロールアウトしてサイドラインへ走るシーンがあったのですが、何と彼の走る先にはコーソ氏が!!

(画面右側の白髪のおじさまです)

今年82歳となるコーソ氏はそれを見るととっさに反応して難を逃れました。ぶつかっていたら大惨事だったかもしれません。そういえばかなり前にコーソ氏がバージニア工科大に来ていた際にキャンパス近くに落雷があったことがあり、なんとそれが彼が借りていたレンタカーを直撃した、なんてこともありました。ブラックスバーグ(バージニア工科大の所在地)はコーソ氏と何かの因縁があるのかもしれませんね。

オハイオ州立大のバレット、新記録を樹立

数々の名QBを生み出してきたオハイオ州立大ですが、現在4年生のJ.T.バレット(J.T. Barrett)が生涯トータルパスヤードでチームの新記録を先週のラトガース大戦で樹立しました。この試合でバレットがオハイオ州立大で稼いだパスヤードがトータルで7548ヤードとなり、1981年以来36年ぶりにこの記録が塗り替えられることになったのです。

今季のバレットは出だしこそスロースタートでしたが、これまで966パスヤードに10TD、そして犯したINTはたったの1つと安定したプレーを披露してきています。名門オハイオ州立大のレコードブックにまた一つ彼の名前が刻まれることになりました。

ペイトン・マニングが凱旋!

テネシー大の卒業生の中でも随一の人物といえばQBペイトン・マニング(Peyton Manning)氏です。テネシー大で1万1201パスヤードに89TDという記録を残したマニング氏は卒業後にインディアナポリスコルツ、そして晩年にはデンバーブロンコスでプレー。それぞれのチームでスーパーボウルに出場して1度ずつ優勝を飾り、現役時代合計5度も最優秀選手に選ばれたプロ殿堂入り間違いないマニング氏ですが、2年前に現役から引退するとすぐにカレッジフットボールの殿堂入りを果たしました。そして先週テネシー大のホームで行われたジョージア大との試合でマニング氏の殿堂入りを祝うためにテネシー大が彼を招待したのです。

テネシー大では選手は試合当日にスタジアムまでファンに囲まれながら練り歩く「Vol Walk」というのが伝統となっていますが、今回マニング氏及び家族はこの「Vol Walk」に参加。ファンの熱い歓迎を受けたのでした。

20年ぶりの「Vol Walk」を堪能したマニング氏。おそらく様々な思い出が走馬灯のように駆け巡ったことでしょうね。

ハインズワース氏、怒る

上記の通りテネシー大はマニング氏ら多くのファンが見守る中先週ジョージア大との試合を迎えましたが、ご承知の通りテネシー大は41対0と完封負けを喫してしまいました。彼らのファンなら誰もがこの体たらくを許すことはないでしょう。しかしそれはファンのみならず卒業生達にとっても目を覆いたくなるような敗戦でした。

そんな中マニング氏と同じく同大学の卒業生で2008年にNFLの最優秀ディフェンダーにも選ばれたことのあるアルバート・ハインズワース(Albert Haynesworth)氏は母校のジョージア大戦での情けない姿を見て下のようなツイートを残しました。

(ホームで41対0で負けるってことは、通りすがりの男が自分の家に入ってきて、母親をビンタし、自分の子供を蹴り飛ばし、そして嫁を連れ去っていくのと同じことだ!!)

ハインズワース氏の母校への愛を込めた怒りのツイートはこれだけではなく、以前彼がテネシー大に在籍中に監督を務めていたフィリップ・フルマー(Phillip Fulmer)氏を追いやった大学上層部への怒りを込めたツイートをこのサイトでも紹介しました。テネシー大出身者ならハインズワース氏の気持ちは痛いほどわかることでしょうが、彼ほどおおっぴらに思っていることをツイートする有名人はいませんので、ファンにとっては自分たちの本音を代弁してくれるハインズワース氏に賛同する人は多いと思います。

Gotta love LOVE!

今季のカレッジフットボール界のRB陣ではペンシルバニア州立大サクオン・バークレー(Saquon Barkley)の活躍ばかりが目立っていますが、その陰ですごい数字を毎週叩き出しているRBがいます。それがスタンフォード大ブライス・ラブ(Bryce Love)です。

昨年までスタンフォード大のオフェンスの要であったスターRBクリスチャン・マカフリー(Christian McCaffrey、現カロライナパンサーズ)の後継者として今季から先発を任されているラブですが、先週のアリゾナ州立大戦ではなんと25回のキャリーで301ヤードを稼ぎ、TDも3つ奪うという大活躍を見せました。この301ヤードという数字は昨年マカフリーがカリフォルニア大戦で達成した1試合最多ランヤード(284ヤード)の記録を塗り替えるものです。

彼の活躍は目を見張るものがあり、これまでこなしてきた5試合全てで最低でも160ランヤードを記録し、TDも最低1つは獲得しているパフォーマンスを見せてきています。以下がこれまでの彼のレコードです。

  • ライス大戦:13キャリー、180ヤード、1TD
  • サザンカリフォルニア大戦:17キャリー、160ヤード、1TD
  • サンディエゴ州立大戦:13キャリー、184ヤード、2TD
  • UCLA戦:30キャリー、263ヤード、1TD
  • アリゾナ州立大戦:25キャリー、301ヤード、3TD

9月の時点で既に1088ヤードも走っているという事実がすごいのはもちろんですが、もっとすごいのは、ラブはこの1000ヤード越えをたったの98キャリーで達成したということです。計算すれば彼は1キャリー平均11ヤード以上ということになり、数字上は彼が1回走れば必ずファーストダウンを奪えるという計算になります。末恐ろしい3年生です。

バークレーがすごいのは周知の事実ですが、ラブにも注目して見てください。

フロリダ大の新記録タイ

先週ヴァンダービルト大戦に勝利したフロリダ大ですが、この勝利でフロリダ大は1試合に最低でも得点を残した連続記録を365ゲームとし、ミシガン大が持っている同じ記録(FBS)に並びました。つまり試合の勝敗に関係なくなんらかの形でスコアボードに得点を重ね続けてきた、ということになります。言いかえれば365試合連続完封負けしたことがない、ということです。

彼らが最後に完封負けして得点できなかったのは1988年のアーバン大戦。以来約30年間完封負けしたことがないということになります。ちなみにミシガン大の記録は1984年から2004年に樹立されたものです。

今週末ルイジアナ州立大と対戦するフロリダ大はミシガン大の記録を抜き去って歴代最多連続記録樹立を狙います。

目つき攻撃の代償

先週サンディエゴ州立大ノーザンイリノイ大と対戦しましたが、その試合中サンディエゴ州立大のスターRBラシャード・ペニー(Rashaad Penny)に対しノーザンイリノイ大LBアントニオ・ジョーンズ・デーヴィス(Antonio Jones-Davis)がどさくさに紛れてペニーの目を故意に突くという悪態をつきました。

その姿はバッチリTVで捕えられており、すぐさま批判の声が湧き起こりました。そしてその結果ジョーンズ・デーヴィスはチームから1試合出場禁止処分を下されてしまいました。

ジョーンズ・デーヴィス、並びにロッド・カーリー(Rod Carey)監督はそれぞれ直々にペニーに謝罪。ペニーもその謝罪を受け入れ水に流すとしました。

「彼(ジョーンズ・デーヴィス)はすまなかったと謝ってきました。彼の監督もです。あれはよくないプレーでした。大事な試合中は感情的になり、彼らも大きなプレッシャーの中で試合を行なっていました。どんな時でも我々のように全米19位という強いチームと対戦するときは皆興奮するものです。選手の感情は最高潮に達します。だから私は誰にも恨みつらみを感じてはいません。彼は真摯に謝りそして私はそれを受け入れました。なぜなら人はいろんなことを人生の中で経て行くわけで、その短い人生の中で誰かが自分に対して謝ってきたのならばそれは受け入れるべきだと思うからです。」とペニーはなんとも大人なコメントを残しました。

今の所全米2位となるランヤードを残しているトップクラスのRBであるペニーの目に大きな影響がなくてよかったですが、これが失明騒ぎなどになっていたらまた状況は変わっていたでしょう。まだ彼の目は腫れているようですが、何事もなくてよかったです。ジョーンズ・デーヴィスもとんでもなく大きな後悔の念に悩まされていることでしょうね。それだけにペニーの潔い対応が際立ちます。

重症のハーバード大選手に電話をかけたのは・・・

FBSの実質下部組織であるFCS(フットボールチャンピオンシップサブディビジョン)のアイビーリーグに所属するハーバード大の今季開幕戦だったロードアイランド大との試合で1年生のディフェンダー、ベン・アバクロンビー(Ben Abercrombie)は頚椎損傷の大怪我を負ってしました。彼はその場でストレッチャーに乗せられて病院に直行され緊急手術を受けることとなりました。

当初は集中治療室でケアを受け、上肢下肢が麻痺した状態が続きましたが、少しずつ感覚が戻り始めているということです。どちらにしても今後回復まで長い道のりが待っていることは確かですが、そんな彼と彼の家族に驚きの人物から励ましの電話がかかってきました。

アラバマ州フーバー氏出身のアバクロンビーに激励の言葉をかけたのは、アラバマ大ニック・セイバン(Nick Saban)監督でした。その時の会話をアバクロンビーの父親はこう語っています。

「セイバン監督はアラバマ州の皆が彼と家族のことを思っている、そしてどんな援助も惜しまないことを私たちに伝えてくれたのです。」

メディアや記者たちには非常にとっつきにくい印象が強いセイバン監督ですが、彼の温かいハートを垣間見ることができるエピソードです。

3番手のQBでも大丈夫!

メリーランド大はQBタイレル・ピグローム(Tyrrell Pigrome)、カシム・ヒル(Kasim Hill)とトップ2選手を怪我で欠き、3番手のマックス・ボーテンシュラガー(Max Bortenschlager)が先週のミネソタ大戦でデビューしましたが、これまで無敗のミネソタ大をアウェーで撃破するという手柄を上げました。メリーランド大は開幕戦でテキサス大を下すなどして現在3勝1敗。Big Tenカンファレンスに移籍してから苦戦が続いてきた彼らにようやく上昇の兆しが訪れているようです。

Rise of UCF

先週メンフィス大相手にトータルオフェンスで600ヤード、ディフェンスも相手から4つのターンオーバーを奪うなどして40対13と快勝したセントラルフロリダ大。これでチームは3勝1敗で最新のランキングではついに25位にランクイン。オレゴン大の元オフェンシブコーディネーターで今季セントラルフロリダ大で2期目となるスコット・フロスト(Scott Frost)監督の株は急上昇中といえそうです。今後「パワー5」で新たに監督を探すチームが現れたとすれば、フロスト監督は見逃せない若手敏腕コーチとして注目されることでしょう

第5週目の故障選手情報

  • ジョワン・ハミルトン(Jowan Hamilton、セントラルフロリダ大RB):脚負傷で今季絶望
  • コナー・ストラチャン(Conner Strachan、ボストンカレッジLB):膝負傷で今季絶望
  • ルーク・デル・リオ(Luke Del Rio、フロリダ大QB):鎖骨骨折で今季絶望
  • タイリー・クリーブランド(Tyrie Cleveland、フロリダ大WR):足首捻挫で次戦ルイジアナ州立大戦欠場
  • ジャスティン・ハバート(Justin Hebert、オレゴン大QB):鎖骨骨折で数週間欠場
  • ウィルトン・スピート(Wilton Speight、ミシガン大QB):非公開の怪我で数週間欠場
  • ケイレブ・ウィルソン(Caleb Wilson、UCLA TE):足負傷で今季絶望
  • デミトリス・ロバートソン(Demetris Robertson、カリフォルニア大WR):下肢の怪我で今季絶望