2度あることは・・・!?

カレッジフットボールを長年見てくると、ときどきその年の流行りのキーワードが飛び出てくる事があります。2年前なら「サテライトキャンプ」がそうでしたが、昨年暮れそして今年にかけてよく出てきた言葉に「トランスファーポータル」という言葉があります。

関連タグサテライトキャンプ

トランスファー、つまり選手の転校は今に始まったことでもありませんが、特に昨年度暮れから今オフシーズンには多くの選手がトランスファーポータルを利用して新天地を探し求めていたような気がします。

トランスファーポータルとは選手が利用できるサービスもしくはシステムで、ここに登録することで自分に転校する意思があることを世に示し、またそのことで他チームのコーチ陣がその選手にコンタクトを取ることを許されるというものです。すでにどこかのチームに所属している選手をリクルートすることは禁止されていますが、トランスファーポータルに登録された選手ならばそれが可能となるのです。

トランスファーポータルに登録することが自動的に転校することを意味するわけではありません。登録し自分に興味を持ってくれるチームがいるのかどうかを確かめるという風に使われることも有ります。もし心変わりすれば自分の名前をポータルから抹消して元の鞘に収まることも十分可能です。

しかしこれにはリスクがないともいえません。おそらくコーチは「トランスファーポータルに登録するならスカラシップ(スポーツ奨学金)を今後授与しない」などという脅迫じみたことは言えないとは思いますが、スカラシップが1年毎に与えられることを考えれば、チームから出ていこうという選手からスカラシップ取り上げようと考えるコーチがいないとは言い切れません。

またチームメイトとしても、一時的だったとしてもチームを去ろうとした選手を再び受け入れることに違和感を感じる選手が居ないとも限りません。

いずれにしてもこの新たなトレンド(ポータル自体いつから存在したのか私も分かりませんが)が学生アスリートたちのあり方に一石を投じたのは確かです。アマチュアアスリートである彼らにとってこのトランスファーポータルがフリーエージェント的な役割を成してしまうのではないかという危惧もあるには有ります。移籍先では「基本的に」即プレーできないというトランスファールールも撤廃すべきだという声もちらほら聞こえてきていますから、もしそうなればいよいよカレッジフットボール界も今まで経験したことがないような新たな局面を迎えることになりそうです。

そんな感じで今年は特に選手がトランスファーするニュースで溢れています。あまりにもその数が多いということ、そしてトランスファー自体にニュース性を感じないことから、よほど影響力のある選手のトランスファーニュース以外はこのサイトでは紹介することはありませんでした。例えばアラバマ大からオクラホマ大へトランスファーしたジェイレン・ハーツ(Jalen Hurts)の話とか。

関連記事アラバマ大QBハーツがオクラホマ大へ

しかしここにちょっと紹介したいトランスファーのニュースが有ります。少なくともこのような「とんでもない」トランスファーをした選手は私の記憶にはありません。

それは元5つ星のWRブルー・マッコイ(Bru McCoy)の話。

Embed from Getty Images

1月にたった2週間でUSCからテキサス大へトランスファーし周囲を驚かせたマッコイでしたが・・・

マッコイは2019年度のリクルートクラスでも注目の選手でたくさんの強豪チームから勧誘を受けていましたが、最終的には西海岸の雄、サザンカリフォルニア大に進学することを決めました。

サザンカリフォルニア大はご存知かと思いますが、ブランド力や歴史から言っても全米屈指の強豪チームであり、最近なら2000年代に現シアトルシーホークスピート・キャロル(Pete Carroll)監督に率いられて一時代を築きました。キャロル監督の指揮下で強さと威厳を取り戻したサザンカリフォルニア大は西海岸の大学の中でも有名度は随一。故に西海岸の有能リクルートの進学先の最大手として名を馳せていました。

が、キャロル監督がシーホークスへ行ってしまうとチーム力の低下は顕著で、彼らはここ最近優勝争いに絡んでくることはおろか、所属するPac-12カンファレンスでも以前のようなダントツの強さを披露することに失敗し続けています(2017年度はタイトルを取りましたが)。

カリフォルニア州ロサンゼルスというキャンパスのロケーションもあり、何かと派手なイメージがついて回るサザンカリフォルニア大ですが、その監督を務めるクレイ・ヘルトン(Clay Helton)監督はキャロル監督が持っていたカリスマ性とかオーラがあまり感じられない人物。そんな彼の下、昨年のチームは5勝7敗と負け越し名門の面目丸つぶれとなってしまいました。

またヘルトン監督は昨シーズン中にオフェンシブコーディネーターだったティー・マーティン(Tee Martin、元テネシー大QB)氏からOCとしてのプレーコーリング権を剥奪。これが内部亀裂となりシーズン後にはマーティン氏は解雇されてしまいました。マーティン氏は選手に非常に好かれていたということで、この事もヘルトン監督にとっては向かい風の要因となってしまったのです。

関連記事元テネシー大QBマーティン氏が母校に凱旋

すでにもう後がないとされているヘルトン監督に追い打ちをかけたのが数人の在校生の転校とマーティン氏の後釜に据えたクリフ・キングスバリー(Kliff Kingsbury)氏が就任後1ヶ月もしないうちにNFLアリゾナカーディナルスの新監督に就任するためにOC職を辞任。そしてサザンカリフォルニア大進学を公言していたリクルートたちが相次いで前言撤回するなどゴタゴタが続いていました。

関連記事USCの新OCキングスバリー氏がNFL入り

その中でも話題となっていたのはマッコイの転校でした。普通と違うのはマッコイが入学したのが今年1月、そしてその2週間後には彼は自らをトランスファーポータルに登録。そしてテキサス大へと転校していったのです。

入部後2週間でトランスファーしてしまうこと自体稀ですが、当時のサザンカリフォルニア大の状況(もちろん外部からしかそれを伺うことは出来ませんが)を考えれば、百歩譲って理解できなくもありませんでした。

しかし!

なんとこのマッコイ、この度テキサス大から再び転校しようとしているという情報が流れてきました。しかもその転校先・・・それはサザンカリフォルニア大なのです。

つまり彼は1月にサザンカリフォルニア大に入学して2週間ほどでテキサス大へ転校し、その5ヶ月後に再び「古巣」へとんぼ返りするということになります。こんな話少なくとは私は聞いたことがありません。こんなことが可能なのかどうかも分かりませんでしたが、何よりももし本当にサザンカリフォルニア大が彼を受け入れるのならどのような心境なのかと不思議でなりません。

マッコイほどの逸材ならば、背水の陣で挑むヘルトン監督にとって背に腹は代えられないということでしょうか。どんな経緯でサザンカリフォルニア大を去ったのかは分かりませんが、それでもコロコロと所属チームを変え続けるマッコイを見れば、「また同じことやるんじゃねーか?」という不信感が生まれたとしても不思議ではありません。

ただマッコイがサザンカリフォルニア大でプレーするということ自体は理にかなっていることです。というのも彼は根っからのサザンカリフォルニア大ファンですし、出身も南カリフォルニア地区で、さらに言えば現在サザンカリフォルニア大でプレーしているQB J.T.ダニエルズ(J.T. Daniels)とWRアモン・ラ・セントブラウン(Amon-Ra St. Brown)とは高校時代のチームメイトなのです。

にしてもマッコイが一度サザンカリフォルニア大を去った(しかも入部2週間後に)という事実は消えませんから、この点をチームメイトたち、コーチたち、そしてファンたちがどう受け止めるのかは気になるところです。彼がチームで大活躍してしまえばこれまでのいざこざは帳消しとなってしまうのでしょうが。

あとはNCAAがこのマッコイの一連のトランスファーをどう見るかです。先にも述べましたが、通常トランスファーすると1年間は転校先で試合に出場できないというルールが有ります。しかし転校しなければならない特別なシチュエーションを持った選手ならばNCAAに特例として転校先でプレーできるように申請することが出来ます。最近ならジョージア大からオハイオ州立大へトランスファーしたQBジャスティン・フィールズ(Justin Fields)や、オハイオ州立大からマイアミ大へ転校したテイト・マーテル(Tate Martell)などがそれに成功しています。

マッコイはそのウェーバー申請をしていませんから、その状態でサザンカリフォルニア大へ戻れば、彼はまだ一度も大学で試合に出ていないということでこの秋から試合出場が可能になるかもしれません。

いずれにしてもこのマッコイの話は正式なものではないので、その結果が分かり次第ここでご紹介したいと思います。

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