元マイアミ大監督リクト氏の現場復帰の可能性は・・・

先シーズン終了後数名の監督が現場から引退することを表明しました。オハイオ州立大アーバン・マイヤー(Urban Meyer)監督はシーズン前に部下が犯した事件の責任を取って3試合の謹慎処分を受けるなどしたのに加え、持病も相まって惜しまれながら引退。またカンザス州立大の生き仏、ビル・シュナイダー(Bill Snyder)監督はがんの闘病から復活するも79歳という高齢もあり遂にフィールドを去る決意をしました。

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この二人は大御所ながらそれぞれが引退する決意を下した理由となる背景がありました。しかしそうではなくまさに青天の霹靂のごとく引退を突如として発表した人物がいます。マイアミ大マーク・リクト(Mark Richt)監督です。

リクト監督は2001年からサウスイースタンカンファレンス(SEC)のジョージア大監督を務め、15年間で145勝51敗という安定した成績を収めました。2002年と2005年にはSECタイトルを取得。その二シーズンの他にも2003年、2004年、2007年、2008年、2011年、2012年、2014年と二桁勝利を獲得。負け越したシーズンは2010年のみということで2000年以降のジョージア大の強さを作り上げた人物です。

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ジョージア大時代のリクト氏

しかし安定した強さからその上へと脱皮することがなかなか叶わず、1980年以来の悲願のナショナルタイトルへは手がとどくことはありませんでした。そしてチームはその悲願達成へとギャンブルに打って出ます。このままではリクト監督ではジョージア大は全米制覇を達成できないと踏み、9勝3敗と決して悪い成績を残したわけではなかった2015年度シーズン後にリクト監督と袂を分かつ決断をしたのです。

個人的には紳士的な振る舞いをするリクト監督には大いなる好感を抱いていましたので、この解雇の決断には少なからず腹を立てたものです。おそらくリクト監督体制を続けていれば大きなほころびも出なかったでしょうが、彼から別の人物に乗り換えてその殻を脱することも出来たかもしれないし、逆にチーム力低下にも繋がる可能性はあったのです。それは全て次期監督次第でした。

そしてジョージア大が招聘したのが大学の卒業生でそれまでアラバマ大でディフェンシブコーディネーターを務めていたカービー・スマート(Kriby Smart)氏。アラバマ大の三度の全米制覇に貢献したスマート氏は当時全米でも最も注目されたアシスタントコーチでしたから、そんな彼を母校へ凱旋させるのは何ら不思議ではありませんでした。しかし一方でスマート氏はそれまでヘッドコーチの経験がなく、やはりジョージア大にしてみればギャンブルと言えばギャンブルだったのです。

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ジョージア大のカービー・スマート監督

しかし過去二年間のスマート監督指揮下のジョージア大の躍進は目をみはるものがあり、二年目の2017年度には早くもナショナルタイトルゲームに進出。そこでスマート監督の恩師でもあるニック・セイバン(Nick Saban)監督率いるアラバマ大と対戦。ここで惜しくも敗れますが、翌年にもSECタイトルゲームに出場するなど確実にスマート監督体制が結果を残しており、リクト監督から舵を切ったジョージア大のギャンブルは見事に的中した様相を見せています。

一方のリクト監督ですが、ジョージア大から解雇(形式上は同意の上での辞任)された後すぐにマイアミ大の監督の仕事をオファーされます。というのもリクト監督はもともとマイアミ大でプレーしたOBだったからです。マイアミ大は2000年代前半からそれまで見せていた強者どもの姿を消しており、またチームを栄光の時代へと連れ戻してくれる指導者を見つけ出せずにいて皆歯ぎしりしているところでした。そこに来て卒業生のリクト監督がジョージア大から解雇されるというまたとないチャンスが訪れます。そしてリクト監督はジョージア 大を去った後間髪入れず母校へ凱旋を果たしたのでした。

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マイアミ大監督就任会見でのリクト氏

リクト監督率いるマイアミ大は初年度となる2016年に9勝4敗といいスタートを切ると、翌年の2017年度には開幕後破竹の10連勝を見せ、全米2位まで躍り出ます。残念ながら残りの3試合をすべて落としてしまったため、完全復活とまではいきませんでしたが、強いマイアミ大の復活に彼らのファンだけでなくカレッジフットボールファンにとっては将来楽しみなチーム状態になっていました。

が、そんな膨らんだ期待を見事に裏切ってしまった昨年度。7勝6敗でかろうじて勝ち越しはしたものの、期待度が高かったために拍子抜けしてしまったというのは正直なところ。しかし毎年二桁勝利を上げるのは簡単なことではありませんし、この結果に悲観する必要もないと思われました。

しかし。12月末、出場したピンストライブボウルが終わってから数日後、突如リクト監督はコーチングの現場から引退することを表明したのです。

マイアミ大に就任してから三年。チーム内のカルチャーは明らかに変わり、リクルーティングもうまくいっているようですし、チームが強くなるのはこれからだという時のトップの引退表明。端から見ると何の前触れもなかったため、それは驚いたものでした。

引退後マイアミ大も所属しているアトランティックコーストカンファレンス(ACC)のACCネットワークの専属スタジオアナリストに就任したリクト氏。フィールドを退いた後の第二の人生としてその知識をアナリストとして還元していくということですが、リクト氏はまだ59歳。コーチとしてはまだまだやれる年齢ですから、そうなると自然と「コーチング復帰はあるのか?」という疑問はついて回るものです。

そして先日の米スポーツ専門局「ESPN」のインタビューに答えたリクト氏はこう答えました。

「私はこのACCネットワークの仕事を大変楽しみにしています。そしてファンがよりゲームを楽しみ理解できるよう手助けできると信じています。こういった形でもフットボールに関わっていれるというのも嬉しいことです。そして同時に私は孫達や自分の子供達との時間もたくさんある。だから今はこの状況に満足しています」

どうやら今のところリクト氏の頭に現場復帰の文字は無いようです。

カレッジフットボールの世界において、コーチ並びにサポートスタッフはほぼ1年間休みなく仕事をし続けています。コーチングはもとよりリクルーティングには想像以上に時間を割き家を空けることも多くなります。そうなると家族との時間が少なくなるというのは分かる話です。ひょっとしたらそういった生活に燃え尽きてしまったのかもしれません。

他にも元アーバン大監督のジーン・チジック(Gene Chizik)氏は家族の時間を優先して現場を離れています。

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今後リクト氏が引退したままなのかどうかは知る由もありませんが、前述のマイヤー氏もフロリダ大監督時に引退を表明してから2年後にはオハイオ州立大の監督に就任するために現場復帰しています。今後コーチングから完全に離れたリクト氏の監督魂に火がついてカレッジフットボール界に戻ってくる日が来る・・・かもしれません。

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