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2015年度シーズン

Decisive Saturday 〜第12週目レビュー〜

Decisive Saturday 〜第12週目レビュー〜

ミシガン州立大17、オハイオ州立大14

これまで見るものを唸らせるような試合や、際立つような勝利を挙げてはこなかったものの、トップランクを維持して来たオハイオ州立大。ディフェンディングチャンピオンでもあるオハイオ州立大はようやく真の強者と呼べるミシガン州立大と対戦しましたが、試合開始から終了までミシガン州立大の方がよりフィジカルでしっかりを作戦を練って来たことが明白で、結果は試合終了と同時にミシガン州立大のフィールドゴールが決まり17対14で今季初黒星。彼らが全米タイトル2連覇を達成する野望は限り無く無に等しくなってしまいました。

またこの敗戦でオハイオ州立大の対カンファレンスチーム連勝記録が30で途切れました。いかにこれまでオハイオ州立大がBig Tenカンファレンスで敵なしであったかを物語る数字であり、またこのミシガン州立大の勝利がどれだけ貴重なものであるかを示しています。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

ミシガン州立大は2週間前にネブラスカ大にまさかの敗戦を喫し全勝シーズンを逃し、その時点でBig Tenカンファレンスタイトル、そしてCFP出場のチャンスは希薄なものになったと誰もが思いました。しかしミシガン州立大の選手、コーチだけは僅かな希望を信じて敗戦後もチームを立て直し、それがこの日の大勝利に繋がったのです。

オハイオ州立大が豊富なタレントを誇っているのは周知の事実ですが、ミシガン州立大の強みはまさに一丸となった「チーム力」です。チーム力といっても具体的でなく分かりづらいですが、例えばこの試合ではオールアメリカン候補でもあるQBコナー・クック(Connor Cook)が肩の怪我で出場出来ませんでしたが、バックアップのタイラー・オコナー(Tyler O’Connor)とダミオン・テリー(Damion Terry)の2人のQBがその穴をしっかり埋めました。

どちらのQBも経験不足は否めませんでしたが、チームに勝利のチャンスを導くだけの仕事をしっかりとこなしました。しかしオハイオ州立大ディフェンスはこの2選手がどのようなプレーをするのか想像出来なかったようでそれも逆にミシガン州立大に有利に働いたようでした。それは選手一人一人がスターでなくても大きな事を為すことが出来ると言う証であり、またそれはコーチ陣の手腕でもあります。

それに引き換えオハイオ州立大のオフェンスプランは正直まったく機能していませんでした。確かに試合中は常に雨が降り注ぐ悪天候ではありましたが、それはミシガン州立大にとっても同じ条件な訳です。ミシガン州立大を甘く見ていたのか、それとも緊張していたのか、一体何が原因なのかは分かりませんが、オハイオ州立大の攻撃は見ていて非常に守りに入っているようでした。

あるときは絶対的なパスのシチュエーションでない限りはパスをする仕草すら見せなかったり、しかしながらランゲームの要であるRBイゼキール・エリオット(Ezekiel Elliott)にはたったの12回しかボールを託さなかったり。後半に至っては2回しかエリオットは走らせてもらえませんでした。試合後エリオットは自らのコーチ陣のプレーコールに疑問符を投げかけるコメントすら残しています。QBのJ.T.バレットは16回のパスでたったの46ヤード。これでは勝てるはずもありません。彼らにオフェンスプランがあったとは到底思えないような展開だったのです。

とにかくこれまで真の強豪チームとの対戦が無く、この試合でオハイオ州立大の真の実力が試される結果となりましたが、その結果はオハイオ州立大はこれまで受けて来た評判に値しないチームであるということを証明するという結果に終わってしまいました。

彼らのカンファレンスタイトルおよびナショナルタイトルへの道が完全に閉ざされた訳ではありません。今週火曜日に発表される最新のCFPランキングでどれだけランクを落とすかにまず注目が集まりますが、あとは次戦のミシガン大戦に勝ち、そしてミシガン州立大がペンシルバニア州立大に負ければオハイオ州立大のカンファレンスチャンピオンシップ出場が決まります。

そこでアイオワ大に大勝することが出来れば、CFP上位4位に返り咲く可能性も残されています。非常に小さい可能性ではありますが・・・。そしてミシガン州立大はこの大一番を制したおかげで頭一つ抜き出ました。次戦のペンシルバニア州立大に勝てば東地区勝者としてアイオワ大とカンファレンスタイトルを賭けて激突。これに勝てばおそらく文句無くCFPに出場する事となるでしょう。


ベイラー大45、オクラホマ州立大35

元来の先発QBセス・ラッセル(Seth Russell)、そしてそのバックアップ、ジャレット・スティッドハム(Jarrett Stidham)がそれぞれ怪我で欠場のため、3番手のQB、クリス・ジョンソン(Chris Johnson)の先発を余儀なくされたベイラー大でしたが、ジョンソンが2つのパスTDに1つのランTDを決め、これまで全勝を飾って来たオクラホマ州立大に45対35で競り勝ちました。

先週オクラホマ大に敗れランクを落としたものの、この勝利でベイラー大のプレーオフ進出に再び希望が出てきました。一方ここまで無敗だったものの、この終盤で1敗を喫してしまったオクラホマ州立大はおそらくプレーオフ進出の望みは絶たれてしまったでしょう。

オクラホマ大30、テキサスクリスチャン大29

オクラホマ大は前半23対7とテキサスクリスチャン大(TCU)にリードして前半を折り返し、そのまま点を重ね続けてすんなりと勝てると思われましたが、QBベーカー・メイフィールドが脳震とうを患って後半出場しなくなると状況が激変。とたんにオフェンスの速度が落ちるとここぞとばかりにTCUが反撃を開始。試合残り時間55秒でTCUがTDを決め1点差まで迫ってきました。

ここでTCUが同点となるエクストラポイントキックではなく2ポイントコンバージョンという大博打に出て決まれば1点差でリード、決まらなければ1点差で泣きを見るという、見ている者の心臓が止まりそうなシチュエーション。結果はTCUのブラム・コールハウセン(Bram Kohlhausen)のパスをオクラホマ大DBスティーブン・パーカー(Steven Parker)が阻止してオクラホマ大が辛くも逃げ切ったのでした。

オクラホマ大はこれで虎の子の1敗を守り、カンファレンスタイトル、そしてプレーオフ進出へまた一歩前進しました。問題はメイフィールドの怪我の状況です。脳震とうは状況によれば1週間以上欠場を余儀なくされる怪我です。また近年は脳震とうが及ぼす脳への状況が頻繁に論議されているので彼の怪我からの回復状況に非常に注目されます。

またTCUにとっては試合終了間際の2ポイントコンバージョンに賛否が分かれます。しかしもっと注目したいのは第3QにTDを奪ったときも2ポイントコンバージョンを決行した事です。結果これも不成功となりましたが、もしこの時普通にキックしていれば第4QにTDしたあと2ポイントコンバージョンなどではなく普通のフィールドキックを決めれば勝利していた事となります。今となっては後の祭りですが・・・。

スタンフォード大35、カリフォルニア大22

スタンフォード大が勝てばPac-12北地区優勝なったこの試合、スタンフォード大に課せられた使命はただ1つ。クリスチャン・マカフリー(Christian McCaffrey)にボールを集めること。そしてそのマカフリーは192ヤードのランに49ヤードのレシーブTD、さらには98ヤードキックオフリターンをエンドゾーンまで運びTDを奪うなど、馬車馬の働き。最終的にチーム新記録となる389オールパーパスヤードを記録。1988年にオクラホマ州立大のレジェンド、バリー・サンダース(Barry Sanders)が樹立したNCAAのシーズントータルのオールパーパスヤード記録、3250ヤードにあと444ヤードに迫りました。

またさらにマカフリーはこれまたチーム新記録となる9試合連続100ヤード以上のランを記録。スタンフォード大は最低でもあと2試合を残しており(最終戦のノートルダム大戦とカンファレンスタイトル戦)、さらにマカフリーは記録を伸ばしてきそうです。

カリフォルニア大もNFL級QBジャレッド・ゴフ(Jared Goff)が386ヤードを投げ何度もスタンフォード大陣内に攻め込みましたが、レッドゾーンに入りながら3度もTDに結びつけることが出来ずフィールドゴールを余儀なくされた事がのちのちゲームの勝敗に響きました。

スタンフォード大はこの試合に勝利した事で北地区を制覇。カンファレンスタイトルゲームで南地区の勝者(UCLAサザンカリフォルニア大戦の勝者)と対戦することになります。しかしその前にライバル・ノートルダム大との試合も控えます。

オレゴン大48、サザンカリフォルニア大28

オレゴン大QBヴァーノン・アダムス(Vernon Adams)が6TDを含む407パスヤードをサザンカリフォルニア大相手に投げまくり48対28と大差で勝利しました。サザンカリフォルニア大が相手チームに6パスTDを決められたのはこれが初めての事です。またオレゴン大のチーム記録としても最多タイとなりました。

前半戦を怪我で欠場していたアダムスでしたが、彼が復帰してからオレゴン大は負けなし。開幕時にはPac-12優勝候補にも挙げられていたオレゴン大はアダムスを欠く事で失速。彼が復帰した頃にはすでに3敗を喫しCFPへの希望も失われていました。もしスタンフォード大がカリフォルニア大に負けていたならばオレゴン大にもチャンスがありましたが、それも前述の通りスタンフォード大に軍配が上がり惜しくもカンファレンスタイトルゲーム進出はなりませんでした。

アダムスがもし怪我を負っていなければPac-12の情勢も違ったものとなっていた事でしょう。オレゴン大もひょっとしたらCFP進出候補として上位に名を連ねていたかもしれません。それだけに酷ですがこれもカレッジフットボールの醍醐味と言えるのかもしれません。

UCLA17、ユタ大9

前半戦破竹の勢いで勝ち続けたユタ大はここに来て大失速。一時はPac-12南地区で首位を独走していたものの先月サザンカリフォルニア大に敗れ、さらにアリゾナ大UCLAに2連敗。3敗で3チーム(ユタ大、UCLA、サザンカリフォルニア大)並ぶ南地区レースではどちらのチームにも負けているユタ大はこのレースから脱落。そしてこの試合に勝利したUCLAは次週のサザンカリフォルニア大との直接対決に勝てば3敗ながら南地区を制し、スタンフォード大とのタイトルゲームに出場が来まります。

クレムソン大33、ウェイクフォレス大13

QBデショーン・ワトソン(Deshaun Watson)率いる全米1位のクレムソン大ウェイクフォレス大を難なく倒し無敗を守り、順調にCFP進出への道を歩み続けています。ハイズマントロフィー候補にも挙げられているワトソンは3つパスTDに1つのランTDを記録する活躍でチームを牽引。7試合連続となるチームトータル500ヤードのオフェンス力を発揮しました。

アラバマ大56、チャールストンサザン大6

アラバマ大のリターナー、サイラス・ジョーンズ(Cyrus Jones)が2つのパントリターンをエンドゾーンまで運びTDを獲得し、またチームの看板選手でもあるRBデリック・ヘンリーが2ランTDを決め、格下チャールストンサザン大を56対6で粉砕しました。ハーフタイムの時点でアラバマ大のリードは49対0となり予想通り一方的な試合展開。ヘンリーも前半早々ベンチに退いてしまったため、期待されたランヤードを稼ぐには至りませんでした。が、重要なのは次戦のアーバン大戦「アイロンボウル(Iron Bowl)」です。この試合では主力選手を温存し、バックアップに出場機会を与えると言う意味では格好の試合だったと言えます。

ノートルダム大19、ボストンカレッジ16

メジャーリーグのボストンレッドソックスの本拠地、フェンウェイパークで行われたこの試合、全米5位のノートルダム大ボストンカレッジに思わぬ苦戦。トータルで5つものターンオーバーを犯しながらギリギリでボストンカレッジを振り切りCFPに望みを繋ぎました。これで2点差で惜しくも敗れたクレムソン大戦以来6連勝。来週はいよいよスタンフォード大との一騎打ちが待ち受けます。

アイオワ大40、パデュー大20

全米6位のアイオワ大はQBのC.J. ベサード(C.J. Beathard)の3TDを見せるパフォーマンスとRBレショーン・ダニエルズ(LeShun Daniels)の2ランTDの活躍でパデュー大に勝ち、Big 10カンファレンス西地区優勝を決めました。またオクラホマ州立大とヒューストン大の無敗チームが今週敗れたため、無敗を維持しているのは首位のクレムソン大とこのアイオワ大だけとなりました。次戦ネブラスカ大戦に勝利すればアイオワ大フットボール部史上初のレギュラーシーズン全勝となります。

フロリダ大20、フロリダアトランティック大14(OT)

全米8位のフロリダ大は格下のフロリダアトランティック大(FAU)に楽勝と思われていましたが、なめてかかったせいか思わぬ大苦戦。試合はなんとオーバータイムにまでもつれ込みましたが、フロリダ大がなんとか逃げ切り世紀の大波乱を防ぎました。しかしながらCFP選考委員は勝利数だけでなく、いかに試合を戦ったか(Body of Work)も考慮するため、大勝すべき相手のFAUにここまで苦しめられたフロリダ大の評価は次のランキングで落ちる事はほぼ間違いないでしょう。次戦のフロリダ州立大、そしてSECチャンピオンシップでこの汚名を挽回するような勝利を上げなければCFP進出は難しいです。

ノースカロライナ大30、バージニア工科大27(OT)

今季限りで勇退を明言しているバージニア工科大の名将フランク・ビーマー(Frank Beamer)監督の最終ホーム戦となったこの試合。しかしオーバータイムでノースカロライナ大のQBマーキース・ウィリアムス(Marquise Williams)に5ヤードTDパスを決められ惜敗。ビーマー監督は有終の美を飾る事はできませんでした。ノースカロライナ大はこれで10連勝となりACCコースタル地区優勝を決めました。12月5日に行われるカンファレンスチャンピオンシップで全米首位のクレムソン大と対決です。

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ノースカロライナ大とのホーム最終戦、試合後選手達に担がれるビーマー監督

コネチカット大20、ヒューストン大17

これまで非パワー5カンファレンスの希望として全勝街道まっしぐらだったヒューストン大でしたが、コネチカット大にまさかの敗戦を喫し、無敗のドリームシーズンに土がつきました。これまで1試合平均500ヤード以上のオフェンスを誇ったヒューストン大でしたが、この日はコネチカット大ディフェンスが318ヤードに押さえ試合を接戦に持ち込み、第4QにWRノエル・トーマス(Noel Thomas)の45ヤードトリックプレーが決まりタッチダウン。最後はヒューストン大の猛攻をエンドゾーンでパスインターセプションで切り抜けコネチカットが金星を得ました。

海軍士官学校(ネイビー)44、タルサ大21

トリプルオプションを十八番とする海軍士官学校(ネイビー)はQBキーナン・レイノルズが81ヤードのランを記録したのを筆頭にランゲームだけでトータル512ヤードも稼ぎタルサ大を44対21で退けました。この試合でレイノルズはネイビーの新記録となる生涯ランヤード4179を樹立。また生涯TD数も82となり、NCAA記録となる83(ウィスコンシン大モンテ・ボール)にあと1つと迫りました。ネイビーは次戦でアメリカンアスレティックカンファレンス西地区代表を賭けてヒューストン大と対決です。

ミシシッピ大38、ルイジアナ州立大17

ミシシッピ大QBチャド・ケリー(Chad Kelly)がパスで2つTDを奪い、足でもさらに2つTDを追加する活躍で、ミシシッピ大がルイジアナ州立大に3連敗目を食らわせました。3週間前まではナショナルタイトルも視野に入れていたルイジアナ州立大でしたが、アラバマ大に完膚なきまでにやられたあと、先週はアーカンソー大に、そして今週はミシシッピ大にと次々と敗戦。この試合では自身が犯したミスとペナルティで自滅状態。とうとうヘッドコーチ、レス・マイルズ(Les Miles)監督の進退問題まで飛び出る始末。

ルイジアナ州立大のRBレナード・フォーネットは108ヤードのランを記録しましたが、後半には離されてしまった点差を縮めるべくオフェンスはパスに比重を置き始めたため、フォーネットの見せ場は減ってしまいました。アラバマ大戦までフォーネットがハイズマントロフィー候補最有力とされていましたが、チームとともに彼の株も急降下です。

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