Coaching Carousel 2017 – オレゴン大の場合

オレゴン大は2010年代前半にチップ・ケリー(Chip Kelly、現UCLA)監督に率いられ彼が在籍した4年間で確実に全米中にその名を轟かせました。ケリー監督がプロの世界で挑戦するためにチームを去った後も彼の下でオフェンシブコーディネーターを務めていたマーク・ヘルフリッチ(Mark Helfrich)監督があとを引き継ぎ、2012年に11勝を挙げると2014年にはハイズマントロフィーQBマーカス・マリオタ(Marcus Mariota)を擁してナショナルタイトルゲームにまで進出を果たします。

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マーク・ヘルフリッチ元監督

しかし2015年に9勝4敗と二桁勝利数を逃すと、ケリー監督体制下でリクルートされた選手たちがほぼいなくなったヘルフリッチ監督4年目の2016年には4勝8敗と惨敗。ヘルフリッチ体制に陰りが見えたと悟った大学側はその2016年シーズン後に彼を解雇してしまいます。そして大学側が白羽の矢を立てたのが当時サウスフロリダ大で監督をしていたウィリー・タガート(Willie Taggart)監督でした。

2012年に3勝9敗だったサウスフロリダ大を引き継いだタガート監督。初年度こそ2勝10敗と撃沈しましたが、2年目の2014年は4勝8敗、3年目の2015年は8勝5敗、そして4年目の2016年には11勝2敗として4年間で勝敗数をひっくり返したのです。この手腕が認められ、タガート監督は自身初となる「パワー5カンファレンス」チーム(オレゴン大)のヘッドコーチに就任したのでした。

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2017年度シーズンからチームを任されたタガート監督でしたが・・・。

彼の強みであるフロリダ州でのリクルーティングのコネクションを十分に生かし、1年目からリクルーティングランキングで急上昇したオレゴン大。タガート監督の初年度となった2017年度シーズンはレギュラーシーズンを7勝5敗で終え、大躍進とは言えないものの4勝8敗だった前年度からすれば今後に期待が持てるシーズンだったと言えます。

しかし。

レギュラーシーズン終了を待たずにフロリダ州立大からジンボ・フィッシャー(Jimbo Fisher)監督がテキサスA&M大へ移籍してしまうと、なんとタガート監督がその空いた椅子に座るべくたった1シーズンでオレゴン大を去ってしまったのです。

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もともとフロリダ州出身であり、フロリダ州立大のファンとして生まれ育ったタガート監督にとってこれは滅多にない大チャンスだったわけです。当の本人も普通なら1年で任されたチームを出て行くようなことはしないが、後ろ髪を引かれる思いがあったとしてもこの千載一遇の機会を逃すことができなかった、と話していました。結果的に彼としては5年前にウエスタンケンタッキー大からサウスフロリダ大へ移ったことを踏まえれば実質5年間で4つのチームを乗り換えたということにもなり、それだけ聞けば決して聞こえはよくありませんが、夢のチームのHCになれるとなればこのような苦肉の決断も致し方なかったのでしょう。

しかしオレゴン大からしてみればまさに青天の霹靂。まさか1年後にまた監督探しをしなければならなくなるとは思いもしなかったことでしょう。ただ彼らの場合他のチームよりも次期監督指名はスムースに行われました。というのもタガート監督体制下でオフェンシブコーディネーターを務めていたマリオ・クリストーバル(Mario Cristobal)氏をそのまま監督に昇格させたからです。

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昇格したクリストーバル監督は早速ラスベガスボウルで初陣。

これには在校生の熱望の声もあったと言います。おそらく選手にしてもそしてチームとしても1年後に全く別のスタイルのコーチを招き入れるのではなく、すでにチームのことを知っていて、システム的にも選手に負担のかからない内部の人間を次期監督に据えるというのが一番自然な流れだったのでしょう。

クリストーバル監督はマイアミ大出身で、2007年から2012年までの6年間フロリダインターナショナル大でヘッドコーチを務めたこともあります。ここでの戦績は27勝47敗と冴えませんでしたが、監督の職を解かれた直後の2013年からアラバマ大のOLコーチに就任し4年間ニック・セイバン(Nick Saban)監督に従事。この間アラバマ大は2015年にナショナルタイトルを獲得しています。

のちのインタビューでクリストーバル監督はアラバマ大での経験は帝王学を学ぶという上で非常に貴重な経験となったと話し、オレゴン大でもアラバマ大での経験を生かしてどんどんいいものを取り入れて行くと明言しています。その手始めについ先日には2008年から昨年までアラバマ大でコーチを務め、クリストーバル監督とも同僚であったベテランコーチのボビー・ウィリアムス(Bobby Williams)氏をアラバマ大から引き抜きました。これもアラバマ大のイロハを知る人物を一人でも多く手元に引き寄せて、オレゴン大でもアラバマ大をモデルにした「王国」を作り出したいというクリストーバル監督の意気込みの表れでしょう。

それが現実のものになるかどうかはわかりませんが、ヘッドコーチとしてはセカンドチャンスを手に入れたクリストーバル監督。オレゴン大はフロリダインターナショナル大とは比べ物にならないくらい資金もリソースもありますから、それを生かすも殺すもクリストーバル監督にかかっていると言えそうです。セイバン監督の元で修行した成果がどう出るか、楽しみです。

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