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2015年度シーズン

CFPナショナルチャンピオンシップ:リキャップ

CFPナショナルチャンピオンシップ:リキャップ

第1Q

試合はアラバマ大のキックオフで開始。アラバマ大、クレムソン大の互いの最初の攻撃は無得点となります。お互いが緊張をほぐすような、相手の出方を見るような滑り出しです。

試合が動いたのはアラバマ大の2回目の攻撃。フィールド中央50ヤードラインで3rdアンド1という状況からアラバマ大エースRBデリック・ヘンリーが一気にエンドゾーンへボールを運ぶ50ヤードランTDが決まり先制パンチ。

 

しかしクレムソン大も負けてはいません。返しの攻撃でQBデショーン・ワトソンからWRハンター・レンフローからの31ヤードパスが決まり試合を7対7の振り出しに戻します。

 

アラバマ大は出だしから飛ばすチームではないのですが、QBジェイク・コーカーはまだ序盤地に足がついていないように見えました。

アラバマ3度目の攻撃はキッカー、アダム・グリフィスの44ヤードFGが外れ再びリードするチャンスを逃します。そしてクレムソン大はこのチャンスを逃さず73ヤードのロングドライブで最後は第1Q終了と同時に再びワトソンからWRレンフローへのパスTDが決まりこの日初めてクレムソン大がリードを奪います。

 

クレムソン大オフェンスはQBワトソンが率いるスプレッドオフェンスがはまり、アラバマ大ディフェンスは持ち前の堅固な守備力を発揮する事が出来ていませんでした。

第1Q終了時スコア:クレムソン大14、アラバマ大7


第2Q

第1Q終了時にクレムソン大にTDを奪われアラバマ大にとって嫌な流れになりかけていたところ、第2Q最初のアラバマ大の攻撃は再びクレムソン大ディフェンスに阻まれパントを余儀なくされます。

いよいよクレムソン大がアラバマ大を突き放すかと思われた次のクレムソン大の攻撃でしたが、QBワトソンがカベレージを見誤り、アラバマ大DBエディー・ジャクソンにパスをインターセプトされてしまいます。ディフェンスが未だクレムソン大オフェンスを攻略しきれていない場面でしたので、このターンオーバーはアラバマ大にとって非常に大きなターニングポイントとなりました。

 

このチャンスをアラバマ大は無駄にはせず、RBヘンリーのハードランとクレムソン大のフェイスマスクのペナルティーも相まってアラバマ大がじりじりとクレムソン大エンドゾーンへボールを運び、最後はヘンリーが今夜2度目のTDランを決め再び試合を14対14の同点とします。

 

その後はお互いがパントを強いられる展開となり、前半最後のクレムソン大のチャンスではキッカー、グレッグ・ヒューエルの44ヤードFGがブロックされまたもチャンスを逃しました。

アラバマ大はパスインターセプションから得点に結びつけ同点には追いつきましたが、未だワトソンのダイナミックプレーを阻止出来ず、今季初と言っていいほどに相手に翻弄される場面が多く見受けられました。

クレムソン大はワトソンのパスとランを織り交ぜた至高のパフォーマンスに加え、RBガルマン、そして前半2TDパスを受けたレンフローの活躍で下馬評を覆す善戦を見せました。

第2Q終了時スコア:クレムソン大14、アラバマ大14

第3Q

後半開始はクレムソン大の攻撃から始まりましたが、この攻撃ではファーストダウンを奪えずパントを余儀なくされます。自陣36ヤードからの攻撃開始となったアラバマ大はクレムソン大セカンダリーがカベレージで混乱している間にオープンとなったTE O.J. ハワードへの53ヤードパスが決まり21対14と再びリードを奪います。

 

しかし焦りの色をまったく見せないクレムソン大オフェンスは自陣25ヤードからWRアルヴィス・スコット、RBガルマン、QBワトソンらのランプレー、そしてアラバマ大からパスインターフェアレンスを引き出すなどしてアラバマ大陣内へ強襲。再びスコアの機会を伺いますが、結局最後はヒューエルのFGで3点しか奪えず、スコアは21対17とアラバマ大が依然としてリード。

アラバマ大オフェンシブラインは終始クレムソン大ディフェンシブラインに押され気味で、特にクレムソン大のケヴィン・ドッドのパスラッシュは驚異的でした。QBコーカーは試合を通してクレムソン大DLからのプレッシャーを受け続け、何度もサックを食らってしまいました。またそのドッドと対峙したOLドミニク・ジャクソンはドッドを押さえるのに苦しみ、結果第3Qでは2度もホールディングのペナルティーを犯してしまったほどです。

 

ワトソンの好調さは第3Qに入っても衰えず、アラバマ大DB陣が全てのWRをカバーしていれば自慢の足でファーストダウン。またオープンレシーバーがいればすかさずパスを通す正確プレーで依然としてアラバマ大ディフェンスをかく乱。そんな彼の活躍もあり第3Q残り4分48秒でRBガルマンの1ヤードランTDが決まりクレムソン大が逆転。スコアは24対21となります。

第3Qはこのスコアのまま終了。いよいよ運命の最終Qをクレムソン大が3点リードで迎えます。

第3Q終了時スコア:クレムソン大24、アラバマ大21

第4Q

第4Qに入っても互いがスコアを重ねられないドライブが続きましたが、このQ2度目のアラバマ大のオフェンス、未だにビッグプレーを見せることが出来なかったQBコーカーが3rdアンド11というプレッシャー下、クレムソン大DLのプレッシャーをかいくぐりWRアーダリウス・スチュワートへパスを投げると、スチュワートのアクロバティックなキャッチが決まりファーストダウンを奪って一気にクレムソン大レッドゾーンへ突入。しかしここからTDに結びつけることが出来ず、FGで試合は24対24のタイゲームとなります。

そしてここでアラバマ大ヘッドコーチ、ニック・セイバン監督は大きな賭けに出ます。「ディフェンスがクレムソン大オフェンスを止められない状況を打開したかった」と試合後に述べていましたが、アラバマ大はまさかのオンサイドキックを敢行。不意をつかれたクレムソン大はアラバマ大にこのキックをリカバーされアラバマ大サイドラインの盛り上がりは最高潮へ。

間髪入れず2プレー後にはコーカーが再びハワードに51ヤードのロングボールを通しTDとして、残り時間10分を切ったところでアラバマ大が31対24とスコアを1タッチダウン差に広げます。

 

しかしこの日そうとう冴えていたクレムソン大オフェンスは自陣25ヤードラインから1分未満でアラバマ大陣内20ヤードまで速攻を決めます。この流れでTDを決めてくるかと思われましたが、レッドゾーンでアラバマ大ディフェンスが踏ん張り、クレムソン大にFGを蹴らせる事に成功。これはミッドフィールドでのクレムソン大オフェンスを攻略出来ないアラバマ大ディフェンスに取ってはむしろ勝利と言えるFGでした。この時点でスコアは31対27のアラバマ大リード。

ここで試合の流れをアラバマ大に引き寄せるキックオフリターンTDが決まります。リターナー、ケンヤン・ドレイクが自陣5ヤードラインでボールをキャッチするとそのまま左サイドラインへするりと抜け、そのまま95ヤードのリターンTDを決めます。これでスコアは38対27となりこの日初めて1TD以上の点差がつきました。ここまでアラバマ大がスコアすればクレムソン大がすかさずスコアを返し、付かず離れずの展開が続きましたが、ここで初めて「これでアラバマ大が抜け出すか?」と思わせた瞬間でした。

 

しかしです。次のクレムソン大の攻撃、引き続きアラバマ大ディフェンスを裸にし面白いように自陣から相手陣内に攻め込むクレムソン大はワトソンからWRアータヴィス・スコットへの15ヤードのスラントパスが決まり見事TD。2ポイントコンバージョンは失敗するも、たったの3分弱で再び点差を1TD以内に縮めました。

 

いよいよ試合も残り時間5分を切り、試合の結末が見えてきた展開。もちろんまだどちらが勝つかわからないのですが、接戦ゆえのこの緊張感はさすがナショナルチャンピオンシップゲームです。

アラバマ大はなんとかボールを動かして時間を稼ぎ、クレムソン大に攻撃権を渡すまいとします。自陣25ヤードラインからスタートしたアラバマ大はまずヘンリーのランが止められ2ヤードを失いますが、次のプレー、QBコーカーからTEハワードへのショートスウィングパスが決まりハワードが決死の61ヤードランを成功させました。クレムソン大としてはなんかアラバマ大陣内でボールを止め、残り時間をセーブしつつ攻撃権を奪い返したいところでしたが、逆にアラバマ大に自陣14ヤードまで攻め込まれ万事休すとなってしまいました。

 

さらに時間を稼ぐべくアラバマ大はヘンリーに2度ボールを託しますが、ファーストダウンを奪えずクレムソン大陣内6ヤードラインで3rdアンド2という局面を迎えます。ここでファーストダウンを奪えばアラバマ大はぐっと勝利に近づき、またクレムソン大がファーストダウンを阻止すれば残り時間約1分でボールを奪い返すことができました。

このショートヤードの状況でアラバマ大オフェンシブコーディネーター、レーン・キフィンが選んだプレーはQBコーカーのブートラン。ヘンリーが左サイドへ走ると見せかけ、コーカーが右サイドへぐるりと回りファーストダウンを目指します。すかさずこれを察知したクレムソン大もコーカーを追いますが、それを見たコーカーは方向転換し真っ直ぐエンドゾーンへ。最後は決死のダイブで見事ファーストダウンを奪い、いよいよクレムソン大にとっては崖っぷちとなりました。

なんとかこの攻撃をしのぎ、少しでも逆転のチャンスを伺いたいクレムソン大は自陣3ヤードラインからのヘンリーとコーカーのランプレーを防ぎながらタイムアウトを使い切り、迎えたクレムソン大陣内1ヤードでの3rdアンド1。コーカーからハンドオフされたボールをヘンリーが襲いかかるクレムソン大ディフェンスに向かって直進。一度は止められるも体をスピンしながら最後は腕をいっぱいにエンドゾーンへ伸ばし、この最後の押しがTDと認められこの局面で駄目押しのTD獲得に成功。試合時間残り1分7秒でアラバマ大が45対33と点差を12点に広げました。

歓喜に沸くアラバマ大サイドラインとスタジアムに駆けつけたアラバマ大ファン。しかし時間はまだ1分残っています。

2年生とは到底思えないプレーをこれまでなんども見せてきたワトソンですが、この試合で驚かされたのは彼がいかにこのプレッシャーのかかった場面で落ち着いた様子を見せていたかです。

念願のナショナルタイトルがかかった試合、この最終局面でリードされあとがない状況でワトソンの表情は非常に落ち着いていたように見えました。それはこの若さではなかなかできないことです。彼のアスリートとしての才能に疑問の余地はありませんが、この精神状況こそ彼が今季ナンバーワンのQBとされる所以なのかもしれません。

試合はすでに決まったような雰囲気が流れ、アラバマ大のサイドライでは勝利の宴の準備を始める姿も見れました。大一番の勝利時にはコーチにスポーツドリンクのシャワーを浴びせるのが恒例ですが、ヘンリーらアラバマ大の選手も近づく勝利の瞬間にセイバン監督に勝利の美酒を浴びせようと企んでいたほどです。

そんな中残り時間1分を切り、唯一そのパーティーに待ったをかけようとしていたのがクレムソン大オフェンスでした。自陣32ヤードからの攻撃、WRシャローン・ピークへの28ヤードパスが決まりアラバマ大陣内へたった20秒の間に攻め込むと、ピークがボールをファンブルし運良くクレムソン大がリカバーするという冷や汗ものの場面があったものの、残り12秒でワトソンからWRジョーダン・レゲットへの24ヤードパスが決まりあっという間にクレムソン大が得点を決めます。

 

これでスコアは45対40。アラバマ大がリードを守るも、仮にクレムソン大がオンサイドキックを成功させ、ヘイルマリーパスが通ってしまえばクレムソン大の大逆転勝利というシナリオの可能性が残されたのです。お祭り騒ぎのアラバマ大側でしたが、これで一転不穏な雰囲気に。

しかしクレムソン大のオンサイドキックは失敗に終わり、ついにクレムソン大の猛追もここまで。結局最終スコア45対40でアラバマ大が見事今季カレッジフットボールの頂点に立ちました。

 

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ベースボール・マガジン社 (編集)

クレムソン大は最強と謳われたアラバマ大ディフェンスを終始圧倒し、特にワトソンは投げては405パスヤードに4TD、走ってもチームトップとなる73ヤードを稼ぎオールパーパスヤードは驚きの478ヤード。これをアラバマ大ディフェンス相手に見せたのですから立派なものです。クレムソン大ディフェンスもアラバマ大オフェンシブラインにプレッシャーをかけ続け、QBコーカーに自由にパスを投げさせませんでした。

アラバマ大は間違いなく今季対戦した相手のなかで最強チームだったクレムソン大に大苦戦。ディフェンスはワトソンを中心としたスプレッドオフェンスに翻弄され続け、結果40失点も犯しました。オフェンスも結果的にヘンリーは158ヤードのランに3TDを記録しましたが、強固なクレムソン大ディフェンシブラインに苦戦。しかしコーカーがここぞという場面でしっかりとパスを成功させ、少ないチャンスをものにしビッグプレーに結びつけたのは大きかったです。

そして忘れてならないのはアラバマ大のスペシャルチーム。オンサイドキック、そしてキックオフリターンTDがなければアラバマ大は確実にクレムソン大に敗れていたことでしょう。運が良かったという人もいるかもしれませんが、そういう「クラッチプレー」をここ一番で成功させることができるかできないかで勝負が決まるというとてもいい例だったと思います。

こうして数々の名場面を残してくれた2015年度カレッジフットボールシーズンはアラバマ大がここ7年間で4度目の栄冠を手にし幕を閉じたのでした。

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