サウスイースタンカンファレンスプレビュー

つい最近までカレッジフットボール界はSECチームの独壇場でしたが、ここ数年はBig TenやACCが盛り返してきたため「SECがカレッジフットボールをシメる時代は終わった」とよく言われていました。しかし実際のところ昨年は優勝チームであるアラバマ大がSEC出身なだけでなく、彼らとタイトルゲームで戦ったジョージア大もSEC出身ということで、SECが未だに強豪チームを世に送り出しているという事実は何も変わっていません。今年もプレシーズンランキングトップ10に3チームのSECチームが名を連ねていますが、果たして今年はどれだけのSECチームが全米を騒がせてくれるでしょうか?

東地区

ジョージア大

昨年ジョージア大がCFPナショナルチャンピオンシップまで駒を進め、アラバマ大に負けはしたもののあともう少しで手がとどくところまで行き着いたことで、ファンの長年のフラストレーションは解消されました。そして今年こそ昨年の雪辱を果たすべくチームは更に高みを目指すわけですが、昨年の先発QBジェイク・フローム(Jake Fromm)、スピードスターのRBデアンドレ・スウィフト(D’Andre Swift)、そしてメコール・ハードマン(Mecole Hardman)、テリー・ゴッドウィン(Terry Godwin)、ライリー・リドリー(Riley Ridley)という強力なスキルポジションに加え、カンファレンス随一のパワーを誇るOL陣と全てにおいて昨年を上回ってくるポテンシャルを秘めています。しかも新入生のQBで将来有望なジャスティン・フィールズ(Justin Fields)も控えているとあり、オフェンス力は昨年のものと比べても遜色ない力を持っています。

またディフェンス陣においてもタレントの質はトップレベルですが、ロクアン・スミス(Roquan Smith、現シカゴベアーズ)を含め昨年のチームから7人ものディフェンダーを失ったことで、新ディフェンスの経験値はどうしても下がってしまいます。しかしそれを加味しても彼らのもつオフェンス力、そして比較的楽なスケジュールを考えれば彼らがSEC東地区での最有力候補と言う結論にたどり着くのは至極当然だと言えそうです。

【関連記事】2018年度注目のチーム【ジョージア大】

フロリダ大

フロリダ大がスコアリングオフェンスで全米トップ40位を下回るようになって久しいです。どれだけかといえばアーバン・マイヤー(Urban Meyer、現オハイオ州立大監督)がチームを率いていた2009年がその最後の年だったというくらいです。そのチームで2008年までオフェンシブコーディネーターを務めていたのが今年からチームの指揮官に着いたダン・マレン(Dan Mullen)監督なのです。

フロリダ大が2006年と2008年に全米を制覇した時のスタッフだったマレン監督。この時はカリスマ的QBだったティム・ティーボ(Tim Tebow)を擁していましたが、彼が前体制から受け継いだQBフェリペ・フランクス(Feleipe Franks)は未だ成長過程のQBですし、経験値の低いWR陣、さらにキッカーやパンターすら新顔ぞろいということで今年のフロリダ大は再建過程の真っ最中といえます。

しかしティーボや前チームのミシシッピ州立大で現ダラスカウボーイズのダーク・プレスコット(Dak Prescott)を愛弟子にもつなど、QBを育てることに関しては右に出るものはいないマレン監督ですので、もしフランクスが一皮むけ、さらにディフェンス陣も新布陣の3-4ディフェンスが板につくようになれば、ジョージア大に物を申すことぐらいはできるかもしれません。

サウスカロライナ大

今年で3年目を迎えるウィル・ムスチャンプ(Will Muschamp)監督。前チームのフロリダ大(2011年から2014年)時代にも言えたことですが、彼の指揮するチームはしばしばオフェンスのパワー不足に泣かされてきました。しかし今年のチームは昨年9勝を挙げたのに貢献したメンバーの多くが残りました。その代表格がQBジェイク・ベントレー(Jake Bentley)で、レベルアップしたOL陣とハイテンポのランパスオプション攻撃に磨きをかけ、これまでにない爆発力のあるオフェンスを見ることが出来るでしょう。これにディフェンス力も着いてくれば東地区レースを面白くしてくれるはず。

ミズーリ大

今年4年生となるQBドリュー・ロック(Drew Lock)は昨年全米トップとなる44パスTDを記録。今季SECだけでなく全米でも大きく注目されるQBとなりました。オフェンスが彼を中心として組み立てられることは確かであり、ある程度のスコアリングを望むことができそうですから、ミズーリ大の今シーズンの命運はそのディフェンス力にかかっているともいえます。DL陣はSECでもトップレベルと目されるミズーリ大が東地区でどれだけやれるか。

ケンタッキー大

3年生RBベニー・スネル(Benny Snell Jr.)は昨年チーム史上初となる2年連続1000ヤード超えを成し遂げた逸材。彼に道を開けるOL陣はベテラン揃いでランゲームには望みを持てそうですが、QBとWRに不安を残しており、それがどれだけスネルのパフォーマンスに影響するか。ディフェンス陣には11人中8人が昨年のチームから戻ってくるのは強みです。にわかにレベルが上がりつつある東地区で彼らが置いてけぼりを喰らわないように勝てる試合をしっかりとものにしたいところ。

テネシー大

元アラバマ大DCのジェレミー・プルイット(Jeremy Pruitt)氏を新監督に招聘したテネシー大では久しぶりにファンの間でシーズンを楽しみにする声で溢れています。彼に監督の経験はありませんが、「帝王」ニック・セイバン(Nick Saban)監督の下で勝利の方程式を叩き込まれた彼がその全てをテネシー大で還元してくれるのではないかと思えば、ファンの期待度の高さも頷けます。

オフェンスではいたるところに穴が空いていますが、スタンフォード大からの転校生QB、ケラー・クリスト(Keller Chryst)が合流してくれたのは朗報です。昨年SECでスコアリングオフェンス最下位だったことを考えると、新たに導入されるプロスタイルのオフェンスとクリスト(もし彼が先発の座を任されれば)の愛称は良さそうですから、テンを取れるテネシー大が帰ってくるかもしれません。

プルイット監督が叩き込むアラバマ大仕込みのディフェンスが真価を発揮するまで時間がかかるかもしれませんが、まずは今年勝ち越してボウルゲーム出場を果し、今後のリクルーティングにつなげていくことが現実的なゴールとなるでしょう。

ヴァンダービルト大

昨年のヴァンダービルト大は実にカンファレンス戦でトータル346失点を犯し、もちろんこれはSECチームで最低の数字を残してしまいました。今年は更にこれに輪をかけて多くの昨年のメンバーが卒業して抜けてしまい不安材料は増すばかりですが、昨年スクールレコードとなる26TDを記録したQBカイル・シューマー(Kyle Shurmur)の存在は不幸中の幸いと言えそうです。が、やはり彼らのシーズンを救う術はディフェンス陣にかかっているといえます。

西地区

アラバマ大

今年の西地区はこれまでと同様、アラバマ大を頂きにして彼らを誰が倒すかという図式になりそうです。昨年の全米覇者であるアラバマ大からは多くのタレントが卒業したりプロ入りしたりして居なくなりましたが、同時にその穴を埋めるに足りる層の厚さを擁しており、今年も3年連続プレシーズンランキング1位の座を獲得しました。

彼らにとって最大の注目点はQBがジェイレン・ハーツ(Jalen Hurts)になるのか、トゥア・タガヴァイロア(Tua Tagovailoa)になるのかというところにつきます。過去2年間先発の座を守り26勝2敗という先発成績をもつハーツですが、ナショナルタイトルゲームでパス能力の穴を大いに露呈し、その彼の代わりに出場してチームにタイトルをもたらしたタガヴァイロアの急成長は、ラスベガスの賭けのオッズが彼をハイズマントロフィー候補の一人に挙げるくらいです。

今のところセイバン監督は二人とも先発扱いだと話しているようですが、とどのつまり開幕戦の最初のスナップを受け取れるのは一人しか居ないわけで、それが誰になるのか非常に気になります。

【関連記事】2018年度注目のチーム【アラバマ大】

アーバン大

ジョージア大、アラバマ大をシーズン中に倒すという偉業を成し遂げたアーバン大。オフシーズンにはガス・マルザーン(Gus Malzahn)監督が巨額の契約更新を果たし、キャンパスでの期待度も急上昇となれば、彼らに求められる結果のハードルは上がるというものです。今年もQBジャレット・スティッドハム(Jarrett Stidham)は健在。昨年3158ヤードに18TDを記録したベイラー大からの転校生はハイズマントロフィー候補とも言われる逸材です。RBケリオン・ジョンソン(Kerryon Johnson)がチームを去ったのは痛手ですが、次期先発候補のカム・マーティン(Kam Martin)は昨年少ない出場機会ながら1キャリー平均6.1ヤードとそこそこの数字を残しました。怪我人が続出した昨年のWR陣も今年は揃い踏みということでスコア力に申し分はなさそうです。ただ今年はジョージア大とアラバマ大それぞれとアウェーで戦わなければならないため、昨年のように両チームから白星を奪うというのは簡単なことではありません。

【関連記事】2018年度注目のチーム【アーバン大】

ミシシッピ州立大

昨年まで9年間チームを指揮し、一時はチーム史上初の全米ナンバーワンにランクされるまでに至ったチームを育てたダン・マレン監督はフロリダ大の新監督に就任するためにチームを去りました。そしてその後釜には昨年までペンシルバニア州立大のオフェンシブコーディネーターを務めていたジョー・モアヘッド(Joe Moorhead)監督が指名されました。

昨年ペンステートのマジカルシーズンを陰で演出したモアヘッド監督にとってQBニック・フィッツジェラルド(Nick Fitzgerald)が怪我から戻ってくるのは朗報です。機動力もあるフィッツジェラルドはモアヘッド監督の指導の元パスにさらに磨きをかけて攻撃陣のリーダーとなるでしょう。また彼のサポーティンググループもポテンシャルの高いWR陣にRBエアリス・ウィリアムス(Aeris Williams)と頼れる布陣が期待できそうです。SEC西地区という猛者ぞろいのリーグで初年度を迎えるモアヘッド監督ですが、二桁勝利シーズンをいきなり送ることが出来るかもしれません。

テキサスA&M大

オフシーズンにフロリダ州立大からジンボ・フィッシャー(Jimbo Fisher)監督を引き抜き、さらにノートルダム大からマイク・エルコ(Mike Elko)氏をディフェンシブコーディネーターとして迎えたテキサスA&M大。相当額の投資をこの二人を獲得するために行ったわけですが、それだけに彼らへの期待度は相当高くなったといえます。監督就任以来フィッシャー氏はチームは内部の気質から改革していったといいますが、全米の表舞台に立ちたいという狂気なまでのファンや後援者達の期待に果たして応えられるでしょうか。

彼らが短期間でどれだけの変化を遂げたのか、それは開幕後4週間でアラバマ大とクレムソン大という全米1、2位のチームと対戦することでその真価が明らかになると思われます。

ルイジアナ州立大

ルイジアナ州立大で2年目を迎えるエド・オルジェロン(Ed Orgeron)監督ですが、ここまでその道は決して楽なものではありませんでした。昨年大金をはたいて雇ったオフェンシブコーディネーターのマット・カナダ(Matt Canada、現メリーランド大OC)と反りが合わない事がほぼ公然となった挙句に袂を分かつことになったり、肝心な大舞台でコケてしまったり・・・。今年こそは、と思いたいところですが、マイアミ大、アラバマ大、ジョージア大、アーバン大という強豪チームたちと相次いで対戦しなければならないスケジュールはオルジェロン監督にとって頭痛の種でしょう。

つい先日先発QBはオハイオ州立大からの転校生であるジョー・が指名されたばかりですが、彼はポテンシャルが高いと言われていたとしても結局はオハイオ州立大で先発の座をつかめなかった選手。また今年のRBには昨年TDを獲得したことのある選手が皆無であるということで、これは1974年以来の事態。新しいOCによって彼らが生まれ変わる可能性はありますが、それが達成されるまでにはある程度の時間を要するでしょう。ただ彼らのディフェンス陣は昨年SECでトップとなる1試合平均10.2タックルを記録したLBデヴィン・ホワイト(Devin White)を中心とした頼れるユニットとなっており、オフェンスの出来によれば西地区の覇権争いに絡んでこれるかもしれません。

ミシシッピ大

昨年開幕前にヒュー・フリーズ(Hugh Freeze)監督が辞任したことで空中分解の危機を迎えたミシシッピ大。そしてその余波でチームの至宝とも言えるQBシェイ・パターソン(Shea Patterson)がミシガン大へ転校していってしまいました。彼の離脱はかなりの痛手ですが、WRのA.J.ブラウン(A.J. Brown)は昨年チーム新記録となる1252ランヤードを稼ぎ、TDも11つ奪うなど万能なところを見せてくれました。彼にボールをさばく、パターソンに代わるQBの発掘が急務となります。ディフェンス力にも不安を残す今年のミシシッピ大は辛抱の年となりそうです。

アーカンソー大

その性格でファンを楽しませてくれたアーカンソー大のブレット・ビルマ監督は昨シーズンとうとう解雇されてしまいましたが、その後継者にはサザンメソディスト大で確実に力をつけてきたチャド・モリス(Chad Morris)が起用されました。ビルマ前監督から受け継がれた人材としてはQB以外ではそれなりの戦力が整っています。今季のアーカンソー大オフェンスを活かすも殺すも先発QBが誰に託されるかにかかっています。

しかし真の問題はディフェンス陣です。昨年はトータルで434失点を犯し、1プレー平均でも相手に7.1ヤードを許すという体たらくぶり。層の薄さも相まってそれなりの覚悟をしないといけなくなるシーズンとなりそうですが、春季トレーニングを終えた時点でのチーム全体の評価はまずまずでしたから、今年でなくても近い将来アーカンソー大が西地区に旋風を起こす日も来るかもしれません。

SECメディアランキング

東地区

  1. ジョージア大
  2. サウスカロライナ大
  3. フロリダ大
  4. ミズーリ大
  5. ケンタッキー大
  6. テネシー大
  7. ヴァンダービルト大

西地区

  1. アラバマ大
  2. アーバン大
  3. ミシシッピ州立大
  4. テキサスA&M大
  5. ルイジアナ州立大
  6. ミシシッピ大
  7. アーカンソー大

AGS予想

本命:アラバマ大

対抗:ジョージア大

:フロリダ大

大穴:テキサスA&M大

この記事が気に入ったらクリック!
この記事が気に入ったらポチッ!
シェアする 0
ツイートする
Pocket
  • Instagram
Google+