ベリチック監督の最上級の褒め言葉

今季開幕からレギュラーシーズン終了まで全米首位を守りきり、5年連続となるカレッジフットボールプレーオフ(CFP)進出を果たしたアラバマ大。彼らを仕切るニック・セイバン(Nick Saban)監督はカレッジフットボール史上最多となる7度目のナショナルチャンピオン獲得に向け今月末準決勝戦でオクラホマ大と相まみえます。

カレッジフットボール界でも最高の監督という呼び声高いセイバン監督ですが、その母体となっているのは彼のディフェンシブコーチとしてのチーム作りでしょう。そしてそれは遡ればプロの世界で研ぎ澄まされたと言っても過言ではありません。実際彼は1991年から1994年までクリーブランドブラウンズでディフェンシブコーディネーターを務めた過去があるのです。

そしてその時のブラウンズの監督は現ニューイングランドペイトリオッツビル・ベリチック(Bill Belichick)監督。言わずと知れた名将ベリチック監督は2000年からペイトリオッツの監督を務めていますが、これまで5度スーパーボウルチャンピオンに輝いています。セイバン監督はカレッジフットボール界でここまで6度のナショナルチャンピオンを手にしており、畑は違えども二人はアメフト界を代表する巨匠になったわけです。

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ニューイングランドペイトリオッツのベリチック監督

そんな二人はブラウンズ時代の縁もありこれまで非常に親しい親友関係を築いてきています。コーチとして、そして友人として尊敬し合う間柄は周知の事実となっていますが、この度アラバマ大が5季連続のプレーオフ進出を決めたことに関して質問されたベリチック監督はセイバン監督を手放しで賞賛しています。

「私は他の誰よりもニック・セイバンに尊敬の意を表します。私のこれまでの業績をニックのものと比べられることがありますが、それは非常に光栄なことです。彼が指導してきたチームの戦いぶりを見れば、ニックよりも秀でている人物がいるとは考えられません。それ故にフットボールに関わるすべてのコーチがニックがこれまで成してきたことをなぞろうとしています。それほどニックは素晴らしいコーチなのです。」

「私が彼とともにしていた時間(ブラウンズ時代)、彼から学ぶことは多くありました。以来非常に親しい親友となり、またコーチとしても尊敬しまた憧れにも似た感情もあります。そしてお互い出会える機会がある時は、自分が尊敬し多くの知識を持つ人物から多くを学ぶことができます。それは生きたフットボールの知識であり応用方法であるのです。」

ところで話は少し変わりますが、セイバン監督は2005年から2006年までの2年間マイアミドルフィンズの監督を務めた過去があります。ここでのセイバン監督の戦績は15勝17敗と振るわず、2006年シーズン終了後にアラバマ大監督就任のためにNFL界を去りました。後のアラバマ大での活躍は周知の事実ですが、一歩違えばセイバン監督はNFLに居残っていたかもしれなかった、というエピソードがあります。

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ドルフィンズ時代のセイバン監督

NFLに精通している方ならばご存知かと思いますが、セイバン監督2年目のオフシーズンにドルフィンズは現在ニューオーリンズセインツで活躍しているQBドリュー・ブリーズ(Drew Brees、元パデュー大)をサンディエゴチャージャーズから獲得しそこねたという過去を持っています。この年肩の手術を受けたブリーズはチャージャーズから放出されますが、そのトレード先にドルフィンズが挙がっていました。しかしセイバン監督らドルフィンズの上層部は肩の怪我を憂慮してブリーズに手を出さず、その代わりにダンテ・カルペッパー(Daunte Culpepper、元セントラルフロリダ大)をトレードで獲得しました。

しかしカルペッパーも同じく膝の手術を受けており、このこともあってか彼は2006年度シーズンは全く振るわずチームは6勝10敗と惨敗。そしてセイバン監督はプロの世界に別れを告げてカレッジフットボール界へ戻っていったのです。

ここでよく言われるのが、「もしドルフィンズがカルペッパーではなくブリーズを獲得していたら・・・」という仮定の話です。

ブリーズは2006年にセインツに入団してからと言うもの、人が変わったように活躍を続け、2009年度のスーパーボウルチャンピオン、10度のプロボウル選出(トータルでは11度)、さらに数々のアワードを獲得し、39歳となった今年も全盛期を髣髴とさせるような素晴らしいパフォーマンスを見せ続けています。

ドルフィンズが憂慮した肩の怪我は結果的に彼のプレーに全く影響を及ぼさなかったわけで、もし彼らがブリーズを獲得していればひょっとしたら彼らが現在までのセインツのようなチームを世に輩出していたかもしれませんし、そうなっていればセイバン監督はプロの世界に留まっていたでしょう。さらに言えばもしそれが現実のものになっていたとしたら、アラバマ大が現在までつづく帝国を築いてはいなかったかもしれません。

セイバン監督がプロで成功していたかどうかなど知る由もありませんが、ブリーズを獲得しなかったことがカレッジフットボール界の勢力図を大きく変えていたかもしれないという仮定の話は大変興味深いです。結果的にはセイバン監督はカレッジフットボール界の方が性に合っていたと言えそうですが。

話が少しずれましたが、あまり多くを語らないことで知られているベリチック監督にここまで褒め言葉を言わせるということは、セイバン監督とベリチック監督の蜜月関係の深さを物語っていますよね。プロとカレッジを代表する二人がこういった関係でつながっていることに、二人にはお互いに通じる帝王学があるのだろうと容易に想像できます。

アラバマ大とペイトリオッツの時代が今後どれだけ続いていくか分かりませんが、今後ここまでそれぞれの世界で時代を凌駕するチームはそう現れないでしょうから、今はその偉大なる時代を大いに楽しもうではありませんか。たとえみなさんが両チームのアンチファンだったとしても(苦笑)。

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