USCの新OCキングスバリー氏がNFL入り

2018年度シーズン後にテキサス工科大から解雇された元監督のクリフ・キングスバリー(Kliff Kingsbury)氏。年末にはサザンカリフォルニア大の新オフェンシブコーディネーターに抜擢されていましたが、この度なんとNFLアリゾナカーディナルスの新監督に就任することが決まりました。

アリゾナは今年1年目にして3勝13敗と惨敗したスティーヴ・ウィルクス(Steve Wilks)監督を解任。その後釜を探していましたが、今回キングスバリー氏に白羽の矢が立ったというわけです。

テキサス工科大から解雇されたのが11月26日。程なくしてサザンカリフォルニア大のOCに就任したのが12月5日。そして年が明けた1月8日にアリゾナの新監督に抜擢されるというめまぐるしい1ヶ月半をキングスバリー氏は過ごしたことになります。

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テキサス工科大時代のキングスバリー氏

テキサス工科大出身のキングスバリー氏は2013年にファンの熱い期待を背負って母校に監督として凱旋。しかしその期待に答えることは出来ず6年間で35勝40敗(カンファレンス戦では19勝35敗)と惨敗。2018年度が勝負の年とサれていましたが5勝7敗で3年連続の負け越しが決まり、シーズン後に解雇されたのです。

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監督としての能力にはいささか疑問が残りますが、一方でテキサス工科大のオフェンス、特にパスオフェンスは全米でもトップクラスであったことは確かです。それは彼が現役時代に師事したマイク・リーチ(Mike Leach、ワシントン州立大監督)の得意な「エアーレイド(パス重視)」オフェンスを引き継いでいたからに他ありません。

そしてテキサス工科大での業績として最も語られているのはQBパトリック・マホームズ(Patrick Mahomes、現カンザスシティーチーフス)を指導し育てたことです。現在NFLで大活躍しMVP候補とも呼ばれるマホームズがここまで活躍できたのはキングスバリー氏の指導のおかげだという声があり、マホームズの活躍とともにキングスバリー氏のコーチとしての株が急上昇したわけです。

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キングスバリー氏とマホームズ

さらに言えば過去にもキングスバリー氏は多くのQBを育ててきた実績があります。ヒューストン大ではケイス・キーナム(Case Keenum、現デンバーブロンコス)、テキサスA&M大ではジョニー・マンゼル(Johnny Manziel)、テキサス工科大ではデーヴィス・ウェブ(Davis Webb、現ニューヨークジェッツ)、そしてオクラホマ大に転校前のベーカー・メイフィールド(Baker Mayfield、現クリーブランドブラウンズ)、そしてマホームズと多くのQBの成長に関わってきました。

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現在新監督を探しているニューヨークジェッツもキングスバリー氏に興味を示していたとか。しかしコーチとしてはNFLでの経験がまったくなく、テキサス工科大での監督としての腕も前述の通りお世辞にも良かったとはいえないキングスバリーを起用したアリゾナの今回の決断には賛否両論です。

そんなキングスバリー氏にチームを託そうという博打を打ったのには、カーディナルスが昨年のドラフトで1巡目に指名したジョシュ・ローゼン(Josh Rosen)の存在があるからでしょう。ローゼンをフランチャイズQBに育て上げたいカーディナルスにとって彼を正しく指導してくれるコーチを探すのは急務だったわけで、それに長けているキングスバリー氏を今回呼び寄せたわけです。

また今のオフェンスのトレンドがよりカレッジ寄りに変化していると言われている今の風潮もキングスバリー氏の起用を後押ししているのでしょう。

しかしながらやはりテキサス工科大で監督としては惨敗した事、そしてNFLでのコーチングの経験がないことからしても、キングスバリー氏が適任なのかどうかということには議論の余地があります。

それでも彼の愛弟子であるマホームズ自身はキングスバリー氏のNFL入りを歓迎し、彼ならばプロレベルでも成功できるとエールを送っています。

またキングスバリー氏がプロ選手としてニューイングランドペイトリオッツに在籍していた際にチームメイトだったあのトム・ブレディ(Tom Brady、元ミシガン大)もキングスバリー氏の才能を買っている人物です。

【参考記事】Tom Brady on M&C: Not surprising Kliff Kingsbury is getting a lot of NFL interest(外部リンク)

一方キングスバリー氏がプロ入りしたことでスクランブルモードに入っているのは当然サザンカリフォルニア大です。監督として後がないと言われるクレイ・ヘルトン(Clay Helton)監督としては、オフェンスの天才として認知されているキングスバリー氏をOCとして招き入れることに成功したことは大収穫でしたし、ファンもこの起用を大変歓迎したと言われています。

そんなキングスバリー氏にNFLが触手を伸ばしているという噂が立ち、実際カーディナルスとジェッツがサザンカリフォルニア大にキングスバリー氏と接触させてほしいというコンタクトがあると、リン・スワン(Lynn Swan)体育局長はこれを拒否。というのもカレッジコーチをインタビューしたい場合には大学側の許可を得なければならないというNFLのルールがあったからなのです。

キングスバリー氏のオフェンスコーチとしての手腕を見込んでOCとしてプロ入りの噂が流れる中、監督の座を用意するという話でキングスバリー氏も態度を一変。サザンカリフォルニア大がプロチームとインタビューすらさせてくれないのならば、サザンカリフォルニア大を辞めてでもそのチャンスを手に入れたいとすら考えていたようです。

結局キングスバリー氏は一度もサザンカリフォルニア大の選手たちを指導することなく去って言ったわけですが、ヘルトン監督が激励の言葉で彼を送り出す一方、彼が新しいOCとしてチームを復活させてくれると願っていた現役選手、そして彼の存在があったからこそ早期サイニングピリオドでサザンカリフォルニア大に進学を決めたリクルート達からは無念さや怒りにも似たコメントも出ています。それは少し前に紹介したマイアミ大マニー・ディアス(Manny Diaz)新コーチのケースにも似ています。

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個人的にはNFLで成功して欲しいと願う反面、彼の強力なオフェンスがカレッジで見れなくなるという寂しさも感じます。いずれにしてもキングスバリー氏がローゼンを一流QBに育て上げることが出来るか、そしてこの起用を批判する人たちを黙らすことが出来るか、来季はアリゾナカーディナルスに注目してみたいと思います。

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