2016年度シーズン第9週目 – Survival Saturday –

主なスコアはこちら

10月最後の週末となったカレッジフットボール第9週目。10チーム居た無敗チームが5チームに減るなどトップを狙うチーム達の明暗を分けた週末を振り返ってみましょう。

クレムソン大、辛くも無敗を守る
クレムソン大 37、フロリダ州立大 34

アトランティックコーストカンファレンス(ACC)の覇権争いで大変重要な試合だったこのマッチアップ。ゲームは一進一退の非常に見応えのあるものになりました。

キックオフ直後からクレムソン大のQBデショーン・ワトソン(Deshaun Watson)が冴え、第1Qでは11回中9回のパスを成功させ、1TDパスを含む98ヤードというパフォーマンスで14対0とフロリダ州立大から2TD差を奪います。この流れからクレムソン大が一気にフロリダ州立大を突き放しにかかるかと思われましたが、ワトソンの一つのミスが試合の流れを変えます。

第2Qにワトソンのパスがフロリダ州立大DBマーキーズ・ホワイト(Marquez White)にインターセプトされるとQBデオンドレ・フランソワ(Deondre Francois)のパスとダルヴィン・クック(Dalvin Cook)のランでクレムソン大に強襲し、最後はクックの4ヤードTDランでフロリダ州立大がこの日初得点をスコアボードに叩き付けました。

第2Q終了直前にもフランソワがTDパスを決めクレムソン大が17対14と僅かにリードして前半を折り返します。第3Q中盤にクレムソン大がFGを決めリードを6点差に広げますが、そのリードも長くは持ちませんでした。ワトソンがこの日二つ目となるパスINTを犯すと、このチャンスを逃すまいとクックが返しのファーストプレーで43ヤードのロングランTDを挙げついにフロリダ州立大が21対20と逆転。スタジアムは歓喜に包まれます。さらに第3Q終了間際にクックの70ヤードのTDが再び炸裂。スコアを28対20とし、いよいよフロリダ州立大の流れになるかと思われました。しかしさすがはクレムソン大。ベテランQBワトソンはそれに動じず返しの攻撃で10プレーで75ヤードのドライブを演出し、RBウェイン・ガルマン(Wayne Gallman)のランTDが決まり、2ポイントコンバージョンは不成功となるも28対26と点差を2点に縮めました。

いよいよ試合も終盤に入りどんなミスも試合を左右しかねないというところで、フロリダ州立大ヘッドコーチ、ジンボ・フィッシャー(Jimbo Fisher)監督がアンスポーツマンシップのファール(審判に必要以上に抗議したため)を犯してしまいます。このせいでチームは15ヤードのペナルティーを喰らい、結果パントを余儀なくされたのです。これが結果的にチームの敗戦の遠因ともなってしまうのですが、クレムソン大はこのチャンスを逃さず試合残り時間5分半でFGを決め29対28と僅差ながら再びリードを奪います。しかしフロリダ州立大も引き下がらずたった2分以内にこの日4つ目となるクックのランTDで再逆転。残り時間3分半で34対29とします。

ただワトソン率いるクレムソン大オフェンスにとって3分半という時間は逆転するのに十分過ぎるものでした。このドライブだけでワトソンはTEジョーダン・レゲット(Jordan Leggett)に立て続けに3つのパスを繋ぎ、その3つ目のパスが34ヤードの決勝TDパスとなったのです。フロリダ州立大にも最後逆転のチャンスがありましたが、ここぞとばかりにクレムソン大フロントセブンが若干1年生のフランソワに襲いかかり最後の3rdダウンと4thダウンで連続QBサックをお見舞いしてフロリダ州立大のカムバックのチャンスを摘みました。

この日クックは4TDに184ランヤードを決めるなどフロリダ州立大オフェンスを牽引。フランソワも1年生ながらクレムソン大のディフェンスに何度も吹き飛ばされるも立ち上がり続けファンを沸かせました。しかしそれでもクレムソン大を倒せなかったのは、ワトソンがこれまで培ってきた経験力と何があっても焦らない集中力、そしてピンポイントで仕事をこなしたクレムソン大ディフェンシブフロントの猛者たちです。これでクレムソン大は8勝無敗。再びプレーオフに進出する為の最大の壁を乗り越え、残りの対戦相手(シラキュース大、ピッツバーグ大、ウェイクフォレスト大、サウスカロライナ大)を考えると、ナショナルタイトルへの道が大きく開けたことになります。

ウィスコンシン大 23、ネブラスカ大 17

全米7位まで上り詰めたネブラスカ大でしたが、これまでメディアの目を唸らせるような試合をこなしてこなかったため実質このウィスコンシン大ネブラスカ大にとって初の腕試しとなる試合となりました。ウィスコンシン大のこれまでの戦いぶりをすればネブラスカ大の真の実力が丸裸にされると思われましたが、ネブラスカ大は予想以上に善戦。ゲームはオーバータイムにまでもつれ込みました。

試合を分けたのはウィスコンシン大のランゲームでした。ネブラスカ大QBトミー・アームストロング(Tommy Armstrong)とウィスコンシン大QBアレックス・ホー二ブルック(Alex Hornibrook)の両選手がパスで大苦戦する中、ウィスコンシン大コーリー・クレメント(Corey Clement)率いるRB陣が200ヤード以上を稼ぐ活躍。想像以上に試合を僅差に持ち込んだ要因となったネブラスカ大ディフェンスでしたが、ウィスコンシン大のランアタックがチームに勝利を引き込んだのでした。

これでネブラスカ大に初の黒星が付き、まだシーズンは終わっていないものの彼らの夢であるナショナルタイトルへの道はここで大きく傾くことになります。

オクラホマ州立大 37、ウエストバージニア大 20

Big 12カンファレンス内で数々のチームが星を落としていくなか無敗を守り10位まで順位を上げてきたウエストバージニア大。このままいけばカンファレンス制覇、そしてプレーオフ進出も決して夢ではないと思われましたが、オクラホマ州立大にまさかの敗退を喫してしまいました。これまで快進撃を続けてきたオフェンスはその鳴りを潜め、3つものターンオーバーを犯しヘッドコーチ、ダナ・ホロゴーセン(Dana Hologorsen)監督の怒りは収まりませんでした。また彼らのスターRBラッセル・シェル(Russell Shell)が前半に足首を負傷し後半欠場を余儀なくされそれもオフェンスのパワー不足に影響を及ぼしました。ウエストバージニア大ディフェンスはオクラホマ州立大を概ね抑えていましたが、オフェンスが点を取れなければディフェンスにも限界があるわけで、この日はオフェンスの不発に泣きました。今後オクラホマ大ベイラー大との対戦を残しているウエストバージニア大にとってこの敗戦は非常に痛手です。

ミシガン大 32、ミシガン州立大 23

昨年の同一カードではミシガン大リードで迎えた終了間際にミシガン州立大がパントをブロックしてそれをTDに結びつけ奇跡の大逆転勝利を収めると言う劇的な試合でした(詳しくはこちら)。ミシガン州立大はそのまま勝ち続け結果プレーオフ進出も果たした訳ですが、今季のミシガン州立大は打って変わって大苦戦中。この試合までたった2勝しか挙げることが出来ず、対するミシガン大はここまで全勝。ランクも全米2位とありこの試合がミシガン大有利である事は誰の目にも明らかでした。実際試合が始まってみると第2Qにミシガン大が得点を一気に重ね、前半を終えた時点で17点差リードを固めました。ファイナルスコアは32対23と数字だけ見ればミシガン州立大が善戦したようにも見えますが、下馬評通りミシガン大が州内ライバルにリベンジを果たした訳です。

しかし特筆すべきはミシガン州立大の第4Qでの行動です。20点差のリードを許した状況で迎えたミシガン州立大の攻撃。敵陣内レッドゾーンまで進撃するも17ヤードラインで4th&ゴールという事態となります。20点差もあるわけですからTDを狙いにいくのも一つの手だとは思います。しかしマーク・ダントニオ(Mark Dantonio)監督はFGをトライするという決断を下しますがキッカーがこのFGを外してしまいました。確かにミシガン大の強固なディフェンス相手に17ヤードの4thダウンをコンバート&TDを奪うのは大変厳しいですからこの決断も分からなくはない訳です。

そして結局ミシガン州立大は9点差で敗れる訳ですが、試合後の会見でダントニオ監督はこのFGの選択の理由を問われこう応えました。

「もしFGが決まっていれば残り10分で2TD差となっていた。10分で2スコアを収めるのは十分可能だったからです。」

しかし仮にFGが決まっていても点差は17点。もしTDを2つ奪って2ポイントコンバージョンを2つ成功させたとしても最大で得られる得点は8×2=16点です。つまりもし仮にFGが決まっていたとしてもミシガン州立大は最低でも3回は点を取らなければならなかった訳です。コーチ陣の計算が狂っていたことになります。これで6連敗目となり精神的に疲労困憊となっているのか・・・。

そしてそれに輪をかけるようなことが終了間際に起こります。ミシガン州立大は残り時間27秒から最後の攻撃を始め、ミシガン大の2つのファールのおかげもあり残り1秒というところでQBタイラー・オコナー(Tyler O’Connor)の5ヤードTDパスが決まりこの時点で30対23となります。エクストラポイントのキックを決めれば点差は6点差となり、あわよくばオンサイドキックとヘイルマリーパスが万が一でも決まれば逆転出来るチャンスは(無いに等しいとはいえ)あったのです。しかし何を思ったのかダントニオ監督はここで2ポイントコンバージョンを決行。しかしミシガン州立大はファンブルを犯しこれをミシガン大のハイズマントロフィー候補ジャブリル・ペッパーズ(Jabrill Peppers)が拾い上げ87ヤードのTDを決め2点を献上してしまったのです。

チームとしてはこれまで相手チームをなぎ倒してきたミシガン大相手によく頑張っていたとは思いますが、この2つの不可解なコーチ陣の判断がなんとも後味の悪いものにしてしまいました。

ワシントン大 31、ユタ大 24

全米4位のワシントン大は17位のユタ大からのチャレンジを受けることになりました。ユタ大はワシントン大オフェンスを要所で食い止め31点取られたものの、3rdダウンコンバージョンは11回中4回しか許さず、ボール支配率でもワシントン大を上回り、これまで2つしかパスINTを犯してこなかったQBジェイク・ブラウニング(Jake Browning)からINTを奪うなど善戦しました。またオフェンスでもRBジョー・ウィリアムス(Joe Williams)が1TDを含む172ランヤードを記録し、全米4位チームに食らいついていき試合自体はほぼイーブンの展開でしたが、第4Qに見せたワシントン大のスペシャルチームが試合の勝敗を分けました。

一つはブラウニングのプーチパント。FGには遠すぎるということでパスと見せかけブラウニングがパントしたのですがこれが見事ユタ大陣内1ヤードラインに着地。ユタ大はこれで自陣ゴールラインからの攻撃を余儀なくされます。そして4プレー後、ユタ大は自陣エンドゾーンからのパントを強いられます。これをリターンしたダンテ・ペティス(Dante Pettis)が並みいるディフェンダーをかわしながら見事57ヤードのリターンTDを決めこれが決勝点となったのです。ブラウニングの見事なパント、そしてそれを指示したクリス・ピーターセン(Chris Pettersen)監督の絶妙な采配が功を奏したのでした。スペシャルチームの重要さを改めて教えてくれた試合でした。

テキサス大 35、ベイラー大 34

全米8位のベイラー大がここまで3勝4敗と苦戦するテキサス大と対戦。これまでのベイラー大の戦い振りからすればこの試合は楽勝かと思われましたが、前半ベイラー大オフェンスが苦戦。パント、ファンブル、セーフティーと10回の攻撃で奪えたTDは3つと1試合平均44点あまりというハイパワーオフェンスにしてはフラストレーションが溜まる前半となりました。実際試合全体では624トータルヤードに31回のファーストダウンを奪うなどボールを動かすのには問題は無かったのですが、それが直接得点に結びつかなかったのです。

一方テキサス大はRBドンタ・フォアマン(D’Onta Foreman)がベイラー大ディフェンス相手に250ヤードランと2TDを決めチームのオフェンスのテンポを作ります。1年生QBシェーン・ビューシェル(Shane Beuchele)はベイラー大のベテランQBセス・ラッセル(Seth Russell)を凌駕する2TDを含む291パスヤードを記録。これをたった21回のパスで繰り出したというところも付け加えておきたいです。

テキサス大のチャーリー・ストロング(Charlie Strong)監督はコンスタントにチームの不発の批判を浴び続けていますが、ゆっくりと、しかし確実に若い目が開き出しているように見えます。テキサス大のサポーター達がこの成長の速度に我慢出来るかどうかがストロング監督の来年以降の去就に影響してくるでしょう。少なくとも彼のコーチとしての腕は確かなものなのです。

ワイオミング大 30、ボイジー州立大 28

これまで連勝を重ね全米13位まで躍り出たボイジー州立大でしたが何とワイオミング大にまさかの敗戦。しかもその負け方が劇的でした。28対28で迎えた第4Q残り1分半、ボイジー州立大の攻撃でボールは自陣10ヤードラインという状況でQBブレット・ライピエン(Brett Rypien)がボールをファンブル。そのボールがエンドゾーンを越えてセーフティーとなり2点をワイオミング大に献上してしまいます。結果これが決勝点となりボイジー州立大の無敗記録が途切れました。ボイジー州立大はここまで無敗でしたが、綱渡りの試合が多く、他のチームよりも対戦相手が格下である為に彼らの真の実力には疑問符が付きまとっていました。この敗戦で「グループオフ5」出身チームで唯一の無敗チームはウエスタンミシガン大のみとなりましたが、彼らが今後トップ10入りする事は奇跡だと思われる為、実質「グループオフ5」チームがプレーオフ進出に絡んでくると言う夢のシナリオは白紙となってしまいました。

ペンシルバニア州立大 62、パデュー大 24

前試合で全米2位のオハイオ州立大をホームで破る大金星を挙げたペンシルバニア州立大(ペンステート)。そこから何かが吹っ切れたのか、このパデュー大戦では今季最高得点となる62点を挙げパデュー大を一蹴。確かにパデュー大はヘッドコーチがシーズン途中で解雇になるなど迷走中ではありますが、どんなチームであれ62点も獲得出来る事は評価されるべきです。またこれでペンステートはアウェーゲーム連敗記録を9でストップ。いよいよ選手達も「勝つ」という感覚、喜びを味わい出し、チームの雰囲気はおそらくこれまでで最高潮に達している事でしょうから、残りの試合(アイオワ大インディアナ大メリーランド大ミシガン州立大)で全て勝つだけの勢いを持っているチームと言えそうです。そうなると突如として彼らがカンファレンスタイトル争い、並びにプレーオフ進出においてダークホースとなる可能性も出てきました。ペンステートは近年スキャンダル(サンダスキー事件)ばかりクローズアップされてきましたが、いよいよ古豪復活の狼煙を上げてもいい頃だという事でしょう。

2016年度シーズンメインページへ