アラバマ大体育局長の回想

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アラバマ大体育局長のビル・バトル(Bill Battle)氏にとって母校であるアラバマ大から仕事のオファーがあるなんて4年前には想像もしない話でした。そして今退職目前のバトル氏はこのアラバマ大での4年間を振り返りインタビューに答えてくれました。

バトル氏の眠れない日々

バトル氏は初年度(2013年度)の大仕事として男子バスケットボール部監督のアンソニー・グラント氏を解雇したことと、フットボール部監督のニック・セイバン(Nick Saban)監督をアラバマ大に引き留めることだったと話しています。

当時全米ではアラバマ大がアーバン大との一戦で「キックシックス(Kick-Six)」で敗れたことが話題をかっさらっていましたが、同時にセイバン監督がテキサス大の次期監督に就任するのではないかと水面下で噂されていたのです。

現在でも当のセイバン氏がどれほどまでにテキサス大の監督の椅子に興味があったのかは明らかになってはいません。セイバン氏自身はテキサス大側と接触したという事実はないといっていますが、一方で彼のエージェントであるジミー・セクストン氏が当時のテキサス大監督マック・ブラウン(Mack Brown)氏引退に伴いテキサス大にコンタクトを取ったと言われています。

セイバン氏を招聘した体育局長であるマル・モアー氏が亡くなった2013年、彼を引き継ぐ形で体育局長に就任したバトル氏は、2009年から2012年の間に3度のタイトルを獲得した名将セイバン氏を引き留めるためにありとあらゆる手を尽くしたといいます。結果2013年度末にはアラバマ大とセイバン氏の間で契約の更新がとり行われたわけですが、そこに行き着くまでは大変な道のりだったとバトル氏は回想しています。

「それは気が気でない毎日でした。彼(セイバン監督)はテキサス大のポジションに興味があるとは一言も私に話したことはありませんでしたが、一方でテキサス大はセイバン監督に年間1000万ドル(約10億円)のサラリーと彼らのメディアネットワークであるロングホーンネットワークの収入の一部を契約に盛り込んでオファーする用意があるという噂を耳にしていたのです。」

いても立ってもいられないバトル氏はセイバン監督に電話を入れこの話の真相を探ります。そして返ってきた言葉は、「今私はリクルーティング中で、オクラホマ大との試合(シュガーボウル)の準備でも忙しいんですよ」というものでした。

「その言葉を聞いた私は『その言葉を聞きたかったんですよ』とセイバン監督に返したのを覚えています。ただそうだとは思っていてもこの世界では何が起こるか分かりませんからね。とにかく何があろうとも私が責任者である期間に彼を失うなんてことがあってはならないと願っていたのです。」とバトル氏はふり返りました。

そうしてこのあとアラバマ大とセイバン監督とで結ばれた契約更新の中身は年間約700万ドル(約7億円)のサラリーに勝利ボーナス付きという破格のディール(幻のテキサス大のディールには及びませんが)。セイバン監督率いるアラバマ大はそこから3年連続サウスイースタンカンファレンス(SEC)優勝、昨年は全米優勝を果たし、今年も敗れはしたものの2年連続ナショナルタイトルゲームに進出するなど、その莫大なサラリーに見合った活躍を見せてくれています。

バトル氏のアラバマ大の未来にかける想い

バトル氏のアラバマ大最後の日は3月1日となりますがそれまではすでに後任に決定しているグレッグ・ブリン氏(アリゾナ大体育局長)への引き継ぎ作業に追われることとなります。

セイバン監督があとどれくらいアラバマ大に監督として居続けるかはわかりません。しかしいつかは彼がコーチングから身を引く(もしくは他チーム移っていく)日が来るわけで、その時セイバン監督に代わる新監督を探し出さなければならなくなります。その大役を担うのが体育局長ですが、それはバトル氏ではなく、次期体育局長であるのが望ましいと本人は語っています。そしてそれがブリン氏の仕事になるかどうか・・・。ただバトル氏はブリン氏ならばその時が来れば適任コーチを射止められるだろうと太鼓判を押しています。

4年間という短い間ながらセイバン監督とともにアラバマ大の栄華を支えたバトル氏。いい思い出もそうでない思い出も噛み締めながらタスカルーサの街を去ろうとしています。

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